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「レセプトになると重症化」-レセプトと通常調査、医療区分3に5%の差

 「レセプトになってくると重症化する。単純に考えるのであれば多少問題点も出てくるような気もする」-。中医協の慢性期包括医療について議論する分科会に示された調査結果に対し、委員が疑問を呈した。患者の病態などに関する調査では医療区分3は19.8%であるのに対し、レセプト調査になると25.0%と、約5ポイント上昇していた。(熊田梨恵)

 厚労省は7月8日に開いた、中医協の「診療報酬調査専門組織・慢性期入院医療の包括評価調査分科会」(分科会長=池上直己・慶応義塾大医学部教授)に対し、療養病床など慢性期包括医療を行っている病院に対して行った調査結果の一部を報告した。
 
 この「2008年度慢性期入院医療の包括評価に関する調査」は、▽施設特性調査▽患者特性調査▽コスト調査▽レセプト調査-の4つからなる。今回報告されたレセプト調査は、入院患者の病態などに関する「患者特性調査」を行った療養病床の09年1月分のレセプトコピーを集めたもの。ただ、患者特性調査は09年3月分のデータであるため、2か月のずれがある。厚労省はこの時期のずれについて、合わせたかったが作業が間に合わなかったとしている。
  
 このレセプト調査と患者特性調査について、医療区分の割合にずれが見られた。患者特性調査では、医療区分1は31.3%、医療区分2は48.9%、医療区分3は19.8%。一方のレセプト調査では医療区分1は20.4%、医療区分2は54.5%、医療区分3は25.0%。レセプト調査になると、医療区分1が約10ポイント下回り、医療区分2は約5ポイント、医療区分3は約5ポイントそれぞれ上回っていた。
 
レセ調査.JPG

患者特性調査.JPG

国保支払い分.JPG

 診療報酬上では、医療区分とADL区分の組み合わせによって、重度であるほど評価は高い。入院1日当たり、医療区分3は1709点、医療区分2は、ADL区分3と2で1320点、ADL区分1で1198点となる。医療区分1はADL区分3で885点、ADL区分2と1だと750点となっている。
 
  
 また、レセプト調査と同時期に実施された国保に請求されているデータを見ると、医療区分1は20.9%、医療区分2は48.8%、医療区分3は30.2%。国保調査になると医療区分2は約6ポイント下がったのに対し、医療区分3は約5ポイント上昇していた。
  
 これについて、佐栁進委員(国立病院機構関門医療センター院長)は「レセプトになってくると重症化する」として、データをどう捉えるべきかと疑問を呈した。池上分科会長はこれに対し、「今後の検証の課題」と述べ、今後検討していく必要性を示唆した。
 
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 次は、佐栁委員と池上分科会長のやり取り。
 
[佐栁委員]
基本的読み方ですが、医療区分の分類の比が、「患者特性調査」では、対象者の時期が合ってないことがあるにしても、これだけの5%。さらにいけば国保。国保は高齢者が多いから出てくるんではないかという気もするんですけど、これだけの差があるというのはどういうふうに考えるべきなのかということなんですけどね。レセプトになってくると重症化すると。単純に考えるんであれば、多少ちょっと問題点も出てくるような気もするんですけどね。どう理解すればいいんですか。学識の方にお答えいただければと思うんですけど。

[池上分科会長]
患者特性調査票は特に保険請求を意識してアセスメントされていないわけですので、必ずしもそこを丁寧にやっているかどうかという点もございます。このレセプト請求は保険請求に直結する、保険請求そのものですので、それに対応されたのではないかと推測されます。

[佐栁委員]
そうかなと思って訊ねたのですが、そうすると医療区分とか、かなり客観的な分類をされていると思うが、合理性とかをここで検討しているわけだが、かなりそういう意味では、恣意性といいますか、調査によってこれだけ差が出てくるというのもグレーゾンに入ることでは。妥当なグレーゾーンなのか、方法論に問題があるのかということも含めて、その辺はどうなんでしょう。5%ぐらいの差というのは、調査のやり方によって当然出てくる差という程度なのか。分類そのものがリーズナブルであるどうかというところの比較でいけば、5%は飲み込んでしまえるものなのかどうなのかという気もするんですけど。

[池上分科会長]
まああの、分科会長としてはお答えしにくい点ですが、研究者として申し上げればこれはデータの質の観点から、今後検証していく必要があるのではないか。結局これはあの、どうして区分3や区分2になるというのは、それに該当する項目をチェックしてそれを評価表ないしレセプトに記載してその結果として医療区分2とか3になるということでありますので、そのチェックが適正に行われているという前提になっているわけです。そこは今後の検証の課題かもしれません。
 
 ここで、三上裕司委員(日本医師会常任理事)が、データの優先順位に関する別の質問を投げ掛けたため、この内容に関する議論はここまでにとどまった。
  
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 また、事務局はこの部分について、会合冒頭に次のように説明していた。
 
[事務局・保険局医療課佐々木健課長補佐] 
レセプト調査、病院分というのを開いていただきます。調査対象病院請求分ということで、今回調査にご協力いただいた病院からレセプトをいただいて、まとめたものでございます。病院国保支払い分と書いてありますのが、これは国保の方に依頼をしまして、療養病棟の請求レセプトを抽出してもらって提出してもらったものをまとめたもの、という構成になっています。
 
まず調査病院請求分でございますが、レセプト件数はちょっと落ちておりますけど、ほぼ同等。日数は伸びていると。
 
医療区分別ADL区分別の患者分類の状況でございます。平成20年度の結果としては20%、55%、25%ぐらいということになっております。18年と比較しまして、医療区分1が減って、その分医療区分2が増えておって、医療区分3も減っているという傾向です。
 
全体をお示したデータです。患者特性調査による結果としましては、4行目の全体というところと、上段2の罫(レセプト調査)のところを対比していただきますと、患者特性調査では3割、5割、2割という傾向でございます。これがレセプト調査になりますと2割、5割5分、2割5分ぐらいになると。レセプト調査の方は若干医療区分上の方が多いという傾向がございます。
 
国保支払い分に関しまして、抽出の仕方は全国の医療療養病床入院患者における平成21年1月分の国保支払い分のレセプトについて、18分の1の無作為抽出を行った結果でございますけども、レセプトの件数は抽出率の関係で少なくなっております。そういう前提でございます。
 
18年度と20年度を比べてみますと、大きく違うのは医療区分3が非常に増えておって、医療区分1が少なくなっているということです、調査協力病院の20年のところと、今お話しております図表のところを見ていただきますと、医療区分2が増えていると話しましたが、これは先ほどの医療区分2の増えた分が医療区分3の方ということで、全体の国保分で抽出した方が医療区分3が多いというような傾向でございます。
 
 
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