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ニュース〜医療の今がわかる

医師の給与、コスト調査で切り下げか ─ 中医協分科会

■ 「フランスでは、医師や看護師らの給与の『標準原価』を計算」 ─ 松田委員
 

[猪口雄二委員(医療法人財団寿康会理事長、全日本病院協会副会長)]
 今回、ここまで精緻化されたということで、「ある程度完成」と考えた場合、これをもう少し汎用(性あるものに)して(DPC以外の)病院が参加できるようにソフトを開発して、そこに数字をどんどん入れていけば、近似値としてこういう結果が出てくるというようなソフト開発について、可能性としていかがだろうか?

[小野太一・保険医療企画調査室長]
 アイデアとしては面白いと思う。ただ、いろいろな病院でいろいろなソフトを使っていて、管理会計の手法もさまざま。そんな中で、完成(したソフト)が出ると、官業と民業との関係など、いろいろな問題が出てくるかもしれない。

 ただ、昨年度にヒアリング調査をした時、「他院の状況は自院のベンチマークとして非常に役に立った」という声もあった。ソフトを開発して配布できるかはまた別の問題だが、この(診療科別収支調査の)方法が普及するということは、病院経営にとって何らかのプラスを生み出していくことができるのではないかと期待している。

[早川保険医療企画調査室長補佐]
 民間のソフトがいろいろ出ているが、それぞれの病院用にカスタマイズした方法で病院が使っている。恐らく、われわれがやっているものを配って、「これに入れてください」と言っても、入れる数字をつくるのに困って、難しいのではないか。ソフトを配っても、逆に皆さんが苦労してしまうのではないか。

[池上教授(調査研究委員会の委員長)] 
 これは私見だが、カスタマイズされたソフトの中に、汎用性のあるソフトを組み入れて、病院の経営戦略を立てる上ではカスタマイズされたソフトを使い、他病院との比較の上ではこの標準的な手法を使うということが将来的にできれば理想的ではないかという気がする。

 そして、こちら(厚労省)が求めるデータは病院が入力しないと完成できない現状だが、データを入手するために病院にかける負担と、全体に与える影響ということを改めて精緻に分析することによって、必要最小限のデータ、あるいはデータがない場合にはデフォルト値として標準値を入れて粗く計算する方法もあると思うので、今後はそうした調査・研究をしていく必要がある。

[田中滋分科会長(慶大大学院教授)]
 ありがとうございます。(調査を)簡素化して、デフォルト値を使う方法はあり得る。

[松田晋哉委員(産業医科大医学部公衆衛生学教授、DPC評価分科会の研究班長)]
 ちょっと僕は混乱している。この調査を何の目的のためにやるのかということをもう一度確認しないといけない。いわゆる「標準原価」みたいなものを求めるためにやっているのか、それとも各病院における「実際原価」を計算して、経営改善のために使っていくのか。目的によって調査の方法も違ってくる。

 もし、「実際原価」みたいなものが出て、それに対していろいろな経営改善をやっていく、コストが安くなっていく、そういうもので本当に診療報酬を決めていいのかという議論が出てくると思う。

 人件費も病院によって違うので、もし「標準原価」みたいなものを決めるなら、人件費を固定し......、ある程度、給与などを「給与表」などを作って固定しなければいけない。

 実は、同じような調査をフランスでやっている。フランスの場合には、いわゆる「標準給与表」というのがある。医師、看護師、いろいろな事務職について。そういうものに基づいて「標準原価」みたいなものを計算していく。

 先ほどのソフトの話で言うと、エコール・デ・ミーヌ(Ecole des Mines de Paris)という、「(パリ)国立鉱山学校」という経営学の大学だが、そこが方法を開発していて、参加する基準も決まっていて、それに参加したところ(病院)はデータを(国に)出すと、全体の平均が出るので、そこで自分の病院と比較する。経営改善にも使う。

 経営改善に使う場合には、自分たちの所(病院)では「実際原価」を入れているわけだが、「標準原価」を計算することによって、国レベルでの診療報酬の決定にも寄与している。

 たぶん、「これ(診療科別収支の調査)を何に使うか」ということを切り分けて考えていかないと、混乱してしまうのではないか。

 ▼ エコール・デ・ミーヌは、日産自動車CEOのカルロス・ゴーンの出身大学。

[田中滋分科会長(慶大大学院教授)]
 整理、ありがとうございます。

 【目次】
 P2 → 「調査を簡素化して、多様な医療機関の参加を」 ─ 厚労省
 P3 → 「コスト計算に基づく診療報酬の構築を」 ─ 猪口委員
 P4 → 「ケアミックス病院は、『診療科群』に準じた扱いで」 ─ 池上教授
 P5 → 「総合診療ベースで見るなど切り口を変えて」 ─ 佐栁委員
 P6 → 「フランスでは、医師や看護師らの給与の『標準原価』を計算」 ─ 松田委員
 P7 → 「管理不能なコストを診療報酬で反映することが必要」 ─ 石井委員
 P8 → 「標準原価と実際原価は二者択一の関係ではない」 ─ 池上教授


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