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「出来高払いの一般病棟、療養病床より検査が多い」-中医協分科会で武久慢性期協会会長

 「『特定』を除外された患者さんの病態を見てみますと、医療療養と非常によくに通っている。しかし出来高なので、検査とかレントゲン、CTはたくさんとっている」-。厚労省が中医協の「慢性期入院医療の包括評価調査分科会」(分科会長=池上直己・慶大教授)に示した一般病床の実態調査の内容について、武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)は、同じ状態の慢性期患者であっても病床の種別で診療報酬が異なることについて「不公平ではないか」と述べた。(熊田梨恵)

検査実施状況.JPG 調査は厚労省が今年3月に一般病棟(5484床)に実施したもので、7月29日のに第4回会合に報告された。看護配置が「13:1」や「15:1」の入院基本料を算定する一般病棟に91日以上入院する患者が2割を占めていることが示されたほか、検査の実施状況なども報告された。

 検査の実施率を見ると、「検体検査(尿、血液)」では、在院日数が「90日以内」の患者(3860人)の実施率が84.8%、「91日以上」(1028人)が84.5%で、医療療養病床(7926人)の62.1%をそれぞれ上回った。「エックス線単純撮影」や「CT」も同様の傾向で、一般病棟の実施率が医療療養病床を上回っていた。これについて武久委員は、医療療養病床の診療報酬は包括払いだが、一般病棟は出来高払いになるため、病院側に検査を多く実施しようとする意図が働くとして、「不公平」との見方を示した。その上で、「同じレベルの人であれば診療報酬体系を同じように対処する方がいいのでは」と述べた。

 このデータに関する委員のやり取りをお伝えする。


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武久委員(右),池上分科会長(奥).jpg[武久委員]
この結果を見ますと、先ほど佐々木補佐がおっしゃったように、特定患者が数百、そして特定除外が3万6千ですかね。ほとんどが特定除外の患者さんということ。特定を除外された患者さんの病態を見てみますと、単純に言えば医療療養と非常によくに通っていると。しかし出来高なので、検査とかレントゲン、CTはたくさんとっているということ。こういう患者さんが急性期病床と言われる一般病床で、75歳以上だけでも月に3万6千。年齢を問わず言うと約5万近くなるかどうかは別として、それだけの患者さんが一日に2万何点と、医療療養からすると非常に高い点数で治療されているということ。慢性期同様の(入院)1年以上の患者さんは非常に多いということもありますし、同様の慢性期(の患者)という意味では、治療内容がほとんど一緒と仮定すれば、同一のものが違う二つの制度(一般病棟と医療療養病床)の中でいるということは不公平ではないかと思いますけども。

[佐栁進委員(国立病院機構関門医療センター院長)]
いろんなことが考えられると思う。今回の調査のこの対象施設を見ると、ほとんどがいろんな施設を共通に持っている施設。すると施設の中であっち行ったりこっち行ったりと調整できるの(患者のデータ)がこの中に上がってきたと思う。そういう意味でいけば、ここで何を見ているのかと言うのが、何が見れるかということだが、本当に適正であるのかどうか、適正な施設にそれぞれが入っているのかどうかということを詳細に見る必要がある。その上にさらに詳細にどこまで見ていくかということが出てくると思う。単独施設の場合は非常にいろんなケースで、病床を変えるとかはなかなか難しいと思うが、実際のここのデータに出てくる施設自体は両方(一般病棟と医療療養病床)持っているということ。今おっしゃった話がそれに当てはまるかどうかは微妙という気がする。

[池上分科会長]
病床数内訳.JPGその前にそれにお答えするかどうか分からないが、どういう病院にこの13:1や15:1の病床があって(という内訳)、かつ病院全体の規模が棒グラフの高さとなっている(左の表を参照)。これで見ますと、このうち白い部分が医療療養病床でありますが、必ずしも白い部分が多いわけではなく、むしろ比較的規模が小さくて13:1、15:1ですべての病床が構成されている。あるいは規模が大きくても、一般病棟だけである病院の方が多いのではないかという印象を持ちました。病院の中での機能分化ということがどこまで大きなウェートを占めているかということが、これを見ますと、先ほどの(佐栁委員の)説明では医療療養病床を持っている病院も多いということでしたけど、これを見ると白い部分(医療療養病床)は大きなウェートを絞めていないような気がしたので、その点についてだけコメントいたしました。

[武久委員]
佐栁委員のご指摘ですけども、実を言いますと点数から見ても、一般病床においては特定除外で出来高で、(医療療養病床と)同様の慢性期高齢者を診た方が診療報酬が高いんですね。どちらかというと一般病床に空きがあれば、特定除外の患者を一般病床で診たいと。これは診療報酬上当然。そこが新しい急性期患者がどんどん入るところでは、そういう患者は療養病床なり介護療養の方にシフトしていく。だが、急性期患者が少ないところでは、むしろ特定除外の患者が一般病床にたくさんいて、そこから医療療養病床の方にはあまり行かないというのが現状。このベッドの種類が「その他」(上の表を参照)なのは介護療養なのだと思うのですが、全体を見てみますと、特に下の表を見ると、18番まではほとんど100床以下、5-60床のところが主でありまして、現実問題として特定除外の患者が主に入院している可能性があるということを示唆するデータだと私は思う。こういうのをケアミックスというが、ケアミックスの病院は全国に非常にたくさんありまして、いわゆる高度急性期病院とは全く違った患者さんの入れ替えをしておりますので、病床種類は一般病床に入院しているほうが一番(診療報酬が)高いと。その次は介護療養か医療療養か内容によって変わりますので、佐栁委員のご指摘の通りではないと思うのですが、どうでしょうか。

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