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ニュース〜医療の今がわかる

〔新生児医療の教育現場から③〕責任と自覚を持たされれば、研修医は育つ


■研修医が育てば勤務医負担軽減にも貢献
――必要とされているという実感と、「自分が診るしかない」という環境、それがモチベーションや自信にもつながったということなのですね。
 
篠塚淳さん(左側).jpg研修医でも1年間しっかりとトレーニングを受ければ目の前の患者さんにできることはたくさんあります。ただ、今はあまり任せてもらえる状況にありません。研修医のモチベーションは、責任を持たされて、自覚を持つことから高まっていくものです。見ているだけの研修では、それはできてきません。研修医が十分にトレーニングできるようなバックアップ体制を取ってもらいながら、責任を持たせてもらえれば、もっと小児科医も増えるでしょうし、勤務医の負担軽減につながると思います。各地で医師の需給のバランスは崩れているので、そういう体制はなかなか難しいとは思いますが、そうすればもっと研修医のモチベーションは上がると思います。
 
――そうすると、研修医への教育が充実することは、医師不足の解消にもつながるかもしれませんね。 
 
今、救急医療でも医師が不足しているといわれていますが、救急医療、小児救急の不足や崩壊は、外来のマンパワー不足と直結しています。入院が必要な患者は救急外来の一部でしかありません。それを恐れて外来全体を断ってしまうと、患者さんはまた別の医療機関に行かなければなりません。外来全体が例えば大学病院などの高度施設に集中すると、パンクしてしまい、本来必要な入院診療にすら手が回らなくなってしまいます。救急外来のかなりの部分はきちんと救急総合診療を研修した研修医でカバーできると思います。そのような研修医を増やして、各地域で外来をサポートできれば、高度施設に余裕ができて、入院・専門医療に割けるマンパワーが確保できるのではないだろうかと考えています。

■専門目指せばこそ、最初は総合診療を
 
――今の新しい臨床研修制度を見てみると、各科を回る設定になっているので、総合的な診療ができる期間は短いかもしれません。
 
そうだと思います。やはり最初が大事なので、先に自分がやりたい分野や専門分野に行ってしまうと、"全体"を診ることができなくなります。私は進路に迷っている学生には「最初はジェネラル(総合診療)をやろう」と声をかけています。自分にできることがあると知ってもらいたいと思っています。やりたい分野がある学生にはなおさら、最初にジェネラルを診てもらいたいと思っています。10年間小児科をやっている医師と、8年間小児科医をしている医師では、大きな差はないと思います。もし20年ぐらいになればなおさらでしょう。そうであれば、2年間ぐらいは救急やジェネラルに診る期間があっていいと思います。最初にそういう時期があれば、後に専門を勉強する時に一層深まります。この頃に責任感を持たされ、自覚ができていくことで、若手のモチベーションは上がっていくと思います。
 
――研修医制度の2年間という期間はどう感じられますか。
 
義務として2年間はやらなければいけない、という意識が研修医側につくことはいいと思っています。それぐらいの期間でいいのではないでしょうか。
 
――これからも新生児医療を続けていかれますか。
 
もちろんです。今はもっと専門を深めたいと思っています。今の病院ではNICUが小児科に併設される形で、地域の小さいお子さんたちも診ています。ただ、治療成績がより高いところのNICUの話を聞くと、悔しい思いになります。インタクトサバイバル(障害なき生存)や、脳出血に対する治療の話などを聞くと、「どうして他の大学のNICUの成績はこうなんだろう」と思わされます。だからもっと専門を勉強していきたいと思っています。
  
■医療者間の意識格差をなくすことも必要
――今、医療はとても厳しい時代にあります。研修医という立場から、どうすれば医療はもっとよくなると感じられますか。
  
外側の制度やシステムにも問題はあると思いますが、一番は医療者間の意識格差だと思います。大学病院と一般病院、都会と地方、勤務医と開業医...、いろいろと意識の差はあると思います。たとえば、自分たちの病院だけが頑張っているという考え方ではいけないと思います。もっと人や情報を交流させた方がいいと思います。今、他の大学病院などからは、私のいる病院の状況は見えていないと思います。お互いに自分たちが行っている医療を見てアドバイスやフィードバックができるといいと思います。そうやって医師同士も向き合っていくことで、誰かだけに負担をかけるということはなくなっていくのではないでしょうか。
 
 

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