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「医師への教育的観点から問題ある」 ─ DPCヒアリングまとめ

10月5日のDPC評価分科会.jpg 大学病院で後発品の使用が進まないため、厚生労働省は「医師への教育的観点からも、特定機能病院で後発医薬品の使用が進まないのは問題がある」などの指摘事項を盛り込んだ報告案を中医協の分科会に提示し、全員一致で了承された。DPC病院の管理・統制に熱が入る委員らに対し、「医療の価値判断をする委員会ではない」とブレーキをかける発言もあった。(新井裕充)

 2010年度の診療報酬改定でDPC(急性期入院費の包括払い方式)の算定ルールを見直すため、中医協のDPC評価分科会(分科会長=西岡清・横浜市立みなと赤十字病院長)は10月5日、先月24、25日に実施したヒアリング結果を踏まえて議論し、厚労省が示した報告案を全員一致で了承した。
 意見交換に先立ち厚労省は、再転棟の割合や後発医薬品の使用状況など、ヒアリングを実施した項目ごとに「医療機関からの主な意見」「ヒアリングでの主な指摘事項等」を示した。

 9月24日のヒアリングで、厚労省・分科会委員と医療機関との間で意見が真っ二つに割れた「後発医薬品の使用状況」について厚労省は、「医療機関からの主な意見」として山形大学医学部附属病院の意見を示した。(→ P2を参照)

 後発品の使用に関する「ヒアリングでの主な指摘事項等」では、厚労省保険局医療課の磯部総一郎薬剤管理官らの発言を要約して列挙。6つのうち4つは礒部管理官の発言で、1つは西岡分科会長の発言だった。
 ただ、残りの1つは誰が発言したのかが不明確で、「医師への教育的観点からも、特定機能病院で後発医薬品の使用が進まないのは問題がある」との一文がさりげなく潜り込ませてある。「医師への教育的観点」という言葉が委員から明確に出たわけではない。(→ P3を参照)

 意見交換では、西岡分科会長が「(前回のヒアリングで)かなり紛糾してしまったところがあるんですが、もう、これはよろしいですか」と一言述べて、議論を避けた。(→ P4を参照)
 このため、前回の議論が続くことはなく、厚労省が示した「まとめ」をあっさり了承した。(→ P5を参照)

 同日の分科会では「医師への教育的観点」を重視する姿勢が随所に見られた。この日は、ヒアリングの結果を議論する前に、医療情報システムベンダーの団体組織である「保健医療福祉情報システム工業会」(JAHIS)の真野誠氏からヒアリングを実施。その質疑で、委員の関心は「DPCコーディングを最終的に決定するのは誰か」という点に集中した。
 厚労省は、医療機関ごとにバラバラに導入されているDPC請求用のシステムを標準化することで、「アップコーディング」など診療報酬の不適切な請求を防止しようと計画している。

 また、再転棟をめぐる議論で小山信彌分科会長代理(東邦大医療センター大森病院心臓血管外科部長)が、ケアミックス病院で慢性期病棟の入院患者をDPCの病棟に移す理由を指摘すると、委員からどよめきが起こった。
 「慢性療養病床に入っている患者さんが(DPC算定の)一般病棟に戻る場合に、戻った日から換算して3日間遡って(医療区分1より点数が高い)出来高になる。これを利用されてしまうと、本来のDPCが駄目になっちゃうので、DPC病棟に転棟するなら、3日間の算定を出来高ではなくてDPC算定にすることが必要。これがいろいろな所に知れ渡ってしまうと、全部そうなっちゃうので、DPCそのものの根幹が揺らいでしまう」

 小山代理はこのように、"抜け道"を規制するため算定ルールの変更を提案。他の委員から「それは知らなかった」などとつぶやく声が漏れた。厚労省の担当者も、このような方法は知らなかった様子で、「(転棟)3日前までの間は、『入院基本料E』という療養病床の(包括)点数だが、一番低い点数を算定することができるという記載になっている。ちょっと確認したい」と回答するにとどまった。

■ 「医療の価値判断をする委員会ではない」 ─ 齊藤委員

 同日の議論では、「いかにDPC病院を管理・統制するか」という点に重きが置かれた。そこで、齊藤壽一委員(社会保険中央総合病院名誉院長)が次のようにブレーキをかけた。
 「ここでの議論はね、DPCから見えてくることまでにして、その中身の是非とか、改善の方法とか医療政策の展開とかね、それを言い出すと、これは(医療政策)すべてになってしまうので、『何が見えてきたか』と、『なぜか』と、そこまでに。これからまたいろいろなヒアリングがあると思うが、『後発医薬品(の使用を進めないのは)けしからん』とか、そういう議論は、ここではそんなに深入りしないほうがいいと思う。医療の価値判断をする委員会ではないので、DPCの制度設計に役立つ意見をまとめていくようにしたらどうかなと思う」

 しかし、齊藤委員の自粛を求める声は空振りに終わり、その後も「いかに規制するか」という内容の議論が続いた。「医師への教育的観点」は、臨床現場での経験が豊富な医師や医系技官が主張する場合には説得力がある。しかし、現場無視の感覚で議論するのであれば、「DPC評価分科会」の存在意義も問われるだろう。分科会委員の見直しも含め、DPCの審議を抜本的に見直す時期に来ているのかもしれない。


【目次】
 P2 → [ 医療機関からの主な意見 ] ─ 厚労省
 P3 → [ ヒアリングでの主な指摘事項等 ] ─ 厚労省
 P4 → 「医学教育という面がかなり重要な役割」 ─ 西岡分科会長
 P5 → ヒアリングのまとめ ─ 厚労省


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