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ニュース〜医療の今がわかる

村重直子の眼5 小野俊介・東大大学院薬学系研究科准教授(下)


小野
「そのとおりです。当局の人たちは、よくこういう言い方をしますよね。『これからの日本には、科学的な評価や判断を行う、優れたレギュラトリーサイエンティストが必要である』と。その認識が根本的に間違っているんですよ。『この薬が社会にとって役に立つものか』の判断をレギュラトリーサイエンティストが行っていいわけないじゃないですか。我々が、みんなが、民主主義的に判断すべきことです。仮に、その『レギュラトリーサイエンティスト』氏に国民が判断を委託するにしても、そのことを皆が合意する必要があるし、判断の結果を国民にフィードバックしてもらわないといけないし、失策をしたり、困ったことが起きたら警告を与える仕組みがいる。その背景あってこその委託でしょう」

村重
「そうですね。民主主義で、みんなで、多様な価値観の中で判断しようという、意思決定プロセスですね」

小野
「学問として、例えば偽シグナルを減らしていくためのデータマイニングの方法論などは、当然今後も研究を進めていくべきです。でも、そのような方法論と意思決定のあり方とはセットでないと役に立ちません。データマイニング手法が進化して、従来100個シグナルが出ていたのが5個に絞り込めたとしても、あるいは、それがたとえ1個になったとしても、その1個をどうするかという判断のプロセスが真空状態ではダメです。レギュラトリーサイエンティストが立派な判断を下せば安心な世の中になる、というのは妄想です」

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