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脳卒中患者の搬送・受入マッチングの全国調査、今年度実施‐消防庁

 総務省消防庁は21日、毎年実施している救急患者の搬送・受け入れの全国実態調査で、今年度は脳卒中患者の状況を調べることを決めた。照会回数や現場滞在時間など救急隊側の情報は消防庁が吸い上げ、確定診断名や転帰など医療機関側のデータは厚労省が集めて、省庁間でマッチングすることを想定している。厚労省が様式の見直しを進めているDPC情報の活用も視野に入っており、医療側に踏み込んだ調査となりそうだ。(熊田梨恵)


 国内で多発する救急受け入れ不能問題の解消に向け、消防庁は2007年度から搬送・受け入れに関する全国実態調査を診療科や重症度別などで行っている。消防機関から照会回数や受け入れられなかった場合の理由、搬送にかかった時間、傷病者背景などの情報を収集することで、搬送・受け入れ状況をデータ化する事が目的だ。昨年度に成立した改正消防法は、搬送・受け入れに関するルール作りを都道府県に義務付けているが、国はこうした実態調査を都道府県レベルでも行い、ルール作りの土台にする事を勧めている。

 この実態調査では産科や小児科、野宿者や薬物依存の患者の搬送状況、心肺停止状態の患者の搬送先医療機関の種類や家族からの希望などについても調査するなど、医療機関側に踏み込んだ調査を実施しているのが特徴だ。中には医療機関側が回答を拒みそうな項目も含まれており、医療側が現場を例えるエピソードをデータ化して現状を把握する狙いがある。

 今年度はルール作りに拍車を掛けることも視野に、国が力を入れている脳卒中医療にスポットを当てた。国はt-PA(血栓溶解薬のアルテプラーゼ。血栓を溶かす作用があり、脳梗塞を起こした患者への投与が有効)治療に診療報酬点数を付け、都道府県が策定する医療計画の中で脳卒中の地域医療に関して詳しく策定するよう求めている。ルール作りでも脳卒中は重視され、多くの都道府県が脳卒中のルールを策定する事が予想されるため、脳卒中患者に関するマッチング調査であれば他の疾病と比べて全国規模で行いやすくなる。

 消防庁は21日に開いた救急搬送業務の質向上に関する有識者会議に調査を実施する方針を示し、委員に了承された。調査項目や実施時期などの詳細は今後決められる予定。マッチングの方針について、患者の状態や照会回数、現場滞在時間など消防機関側の情報は消防庁が収集するとし、確定診断名や患者の予後、転帰などの医療機関側の情報は厚労省側が吸い上げるとした。これらの情報を消防庁と厚労省がマッチングして分析するという形が想定されており、都道府県が調査する際のモデルになるとみられる。また消防庁は、調査時に厚労省と連携してDPC情報を活用していく事も提案。DPCについては、患者単位の診療録情報が含まれている様式の見直しに関する議論が厚労省で進んでおり、脳卒中の発症時期やNIHストロークスケール(脳卒中評価スケール)の記載を追加する提案がされている。調査でどこまでの医療情報を吸い上げるかは今後の議論次第だが、患者の個人情報や、医療側の詳細な情報も含まれているため、医療機関側の反発が懸念される。
 
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