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ニュース〜医療の今がわかる

村重直子の眼14 熊田梨恵・『ロハス・メディカル』論説委員(下)

 熊田梨恵・本誌論説委員とのやりとりの(下)です。

熊田
「今年のはじめに、一度、先生の書いたとされる本が回収になって、ニュースにもなったじゃないですか」

村重
「結構、聞かれました。まだ出ないんですかって。厚労省から圧力がかかったんでしょうとか、いじめられたでしょうとか聞かれましたけど、全然そんなことないですよ。講談社の方々にも良くしていただいて、あの対応の速さは『さすが講談社』という感じでしたね」

熊田
「その頃、先生は次どうされるか決まってたんですか」

村重
「全然決まってませんでした。本が出るときに、辞めてても辞めてなくてもどちらでもいいと思ってたんです。いずれにしても出そうと思っていました。国民の皆さんに知っていただく必要がありますから」

熊田
「どうですか、本が出てみてのお気持ちは」

村重
「一つの区切りでしょうか。今までアメリカを見て、日本の現場を見て、厚労省を見て、厚労省でも役人の立場と政治任用の立場と両方経験して、現場の方々に伝えなければいけないと思っていたので、それがやっと一つまとめられたと思っています」

熊田
「伝えたいものとは、どういう所ですか」

村重
「全部です。国民の皆さんが事実を全部知るべきだと思います。その上でどう判断するかは、人によってそれぞれ違うでしょうし、その中のマジョリティを政治家がバランス取っていくのでしょうけれど、一方的に官僚が密室で決めるのはおかしいですよね。どういうプロセスで誰が決めていっているのかを、皆さん知る必要があると思います。誰がと言っても、よく『○○局長ですか』と聞かれるんですけど、たった1人のリーダーは実は存在しません。なんとなく責任を逃れるためという共通の利害のもとに共通の発想をして、何となく決まって行くので、ただ誰か1人の責任者を責めればいい、1人代えれば良くなるというものではありません。このような状況にあるということも含めて、全部知った上で、どう変えたいですか、どう変えたらいいと思いますかと、国民1人ひとりに考えていただきたいと思ったのです」

熊田
「それが今回象徴的に表れていたのがインフルエンザですかね」

村重
「事故調も象徴的だったと思いますけど、普段医療と関係ない一般の方まですごく大きな注目を集めたという意味では、新型インフルエンザはたぶん一般の方に分かりやすい身近な話題ですよね。構造的な問題としては、どのテーマを取っていただいてもほとんど同じで、インフルエンザの話も、事故調の話も、医療崩壊と言われるような話も、構造的にはほぼ同じと思っています」

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