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ニュース〜医療の今がわかる

勝ち残るのは、やはり特定機能病院?

■ 「かなりの激変になるのではないか」 ─ 池上委員
 

[池上直己委員(慶應義塾大医学部医療政策・管理学教授)]
 まず、この図の表示の仕方としてですね......。
調整係数見直し後0113.jpg ▼ 厚労省が「新作」を示すと何かしら突っ込みを入れることが多いが、今回は「ポンチ絵が......」とは言わなかった。最近、医療課の資料は見栄えが良い。デザイナーさんがいるのだろうか。この日、傍聴者にもカラーの資料が配布された。担当者は「間違ってカラーで印刷してしまった」と話していたが、重要な図は今後もカラーで印刷してほしい。

 あの......、「見直し後」と「現行」を比較した場合、「機能評価係数Ⅰ」が上にあった方が分かりやすいと思ったんですけど......。(委員ら、笑い)

 その下に「機能評価係数Ⅱ」として、それから、「基礎係数」と......。(上から)だんだん病院固有のものになっていくというイメージに合うというのが私の印象です。

 それから、今おっしゃった「(医療)機関群」ごとに「基礎係数」を出すというのは、いわば薬価調査とほぼ同じような形で、出来高の調査を行って......。

 そして、薬価調査は一律に改定後の薬価に反映されるけど、この「基礎係数」に関しては病院群ごとにその差額分が係数として平準化されるというイメージになってくると思いますので......。

 自分の病院がどの病院群に入るかによって大きく、この「基礎係数」は変わってきますので、特定機能病院については......、まあ、特に異論はないかもしれませんけれども......。(委員ら、大笑い)

 ▼ 問題は200床前後のケアミックス病院か......と思ったが、それだけではないらしい。

 他の病院にとっては、どの病院群に入るかによって出来高と包括との差が大きくなるし、また特定機能病院の場合も、特定機能病院間で「調整係数」......、現実にはかなり大きな幅がありますので、これが特定機能病院として一本化した場合には、かなりの激変になるのではないかという気がしますけど......。

 まあ、これは仮に「病院群」と言うわけですから、一定の社会的に理解できるグループとしてのまとまりで、例えば、特定機能病院と言った場合には「調整係数」において2割ぐらいの格差があるわけですね、現実の「調整係数」では......。

 ▼ 「調整係数」の分布については、2010年12月16日の分科会資料を参照。

 それを次回の改定と同時にですね、特定機能病院として一本の......、仮に「Rゾーン」(調整幅)を設けたとしても、ある病院にとってはかなり償還額が増えるし、ある病院にとってはかなり減ることになるんですけど、そういう解釈でよろしいんでしょうか。

 (小山分科会長代理が企画官に何か話しかけている)

[保険局医療課・迫井正深企画官]
 まず池上委員からのご質問にだけお答えしまして、小山分科会長代理にお渡ししたいと思います。

 まず、いかなる見直しをするにせよ、「調整係数」を置き換える、あるいは「調整係数」のような(DPC)参入時点での調整をなくすという意味からしますと、いかなる見直しをしましても大きく変動するのは間違いないと思います。

 ですから、今回ご議論いただいていますのは、「最終的な絵姿としてどこを目指すんですか」という原理・原則をはっきりさせていただきたい、はっきりしていく必要があるということで問題提起をしています。

 ▼ DPC制度に否定的な日本医師会は、出来高払いの病院よりもDPC病院の方が収益面で有利であることを問題視している。その根拠の1つに、「調整係数」を挙げる。「DPCに関する日本医師会の見解2008年7月23日」によると、「DPC対象病院になる前年(このときは出来高)に過度の診療を行い、点数を引き上げているとの指摘もある」としている。
 DPCに入る前に検査や投薬をガンガンやって有利な係数を獲得した上で先発品を後発品に切り替えたり、検査を外来に回したりして減収を装う手法は定番と言える。こうした事情もあり、「日本式な護送船団方式」との批判も出ている。国際医療経済学者・アキよしかわ氏の「日本人が知らない日本医療の真実」(幻冬舎刊)の129ページに次のような記述がある。
 「アメリカ人の目から見ると、落ちこぼれを救済するための調整係数はアンフェアに見える。頑張って結果を出した人よりも、そうでない人のほうが得をするルールだからである。
 DPCはDRGを参考にしていると先述したが、実は根底的な発想には大きな隔たりがあるのである。DRGは一番努力した者に勝利の栄光を与える制度である一方、DPCはビリの病院でも脱落させないという、きわめて日本式な護送船団方式の発想で始まっている」

 その上で、激変緩和についてはまた別のご議論でございます。最終的な絵姿が見えた時点で、そこまでに段階的にどのように移行していくのかというのは当然......、現場が混乱してはいけませんので必要な措置を取る必要があると事務局は理解しております。

 それから、図の(ⅠとⅡの)順番の所はまさにいろんなご意見がありまして......。例えば、出来高あるいはコストにより依拠したグループという意味では、「基礎係数」と「機能評価係数Ⅰ」の方がむしろ......。

 今回、明確にご提案しました「機能評価係数Ⅱはインセンティブです」という風な性質をもしご理解いただけるのであれば、むしろこの順番なのかなということでございます。ここはまあ、様々なご意見があろうかなと......。頂いたご質問は大体そんなところだろうと......。

[西岡清分科会長(横浜市立みなと赤十字病院長)]
 (小山分科会長代理を見ながら)では、どうぞ。


【目次】
 P2 → 「医療機関群の特性に応じた設定を検討してはどうか」 ─ 厚労省
 P3 → 「包括評価に『一定幅』という文言が分からない」 ─ 酒巻委員
 P4 → 「基礎係数の中身が示されていない」 ─ 齊藤委員
 P5 → 「個別に取り出して項目で評価するのは限界」 ─ 厚労省
 P6 → 「A、B、Cはどういう区分けですか?」 ─ 齊藤委員
 P7 → 「同一群であれば1つの数字」 ─ 厚労省
 P8 → 「基礎係数はあくまで出来高を正確に反映」 ─ 厚労省
 P9 → 「かなりの激変になるのではないか」 ─ 池上委員
 P10 → 「病院ごとの基礎係数という考え方がいい」 ─ 小山分科会長代理
 P11 → 「一本化できそうかデータを作って議論を」 ─ 伊藤委員
 P12 → 「実際にいくつかの数字を出してみて」 ─ 相川委員
 P13 → 「カラーの図で基礎係数がやたらデカイですよね」 ─ 吉田委員
 P14 → 「25%という数字はあくまでも平成22年の時」 ─ 厚労省
 P15 → 「調整係数が全くゼロになることは起こりえない」 ─ 西岡分科会長
 P16 → 「個別調整をするのは適切でない」 ─ 厚労省
 P17 → 「ある程度の合意になりました」 ─ 西岡分科会長

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