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ニュース〜医療の今がわかる

自治体病院より見た医師不足の要因と対策

矢野右人氏資料-01.jpg 医師偏在の原因について、いくつかの考え方がある。へき地や離島を抱える長崎県の病院企業団はどう見ているか。(新井裕充)

 文部科学省の「今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会」で、長崎県病院企業団企業長の矢野右人氏が意見を述べた(出典:同検討会第5回の資料、および議事録)。

【安西祐一郎座長(慶應義塾学事顧問)】
 それでは、時間でございますので、ただいまから今後の医学部入学定員の在り方等に関する検討会第5回を開催させていただきます。(中略)

 前回の会議がちょうど3月11日に開かれました。それ以来でございますけれども、被災地、被災者の皆様、いかばかりかと思いますけれども、そういう思いを含んで、また続けさせていただければと思います。今日は、鈴木副大臣がご出席でございますが、適宜ご発言もいただければと思っております。よろしくお願い申し上げます。

 今日は、前回に引き続きまして、有識者の方からヒアリングを行わせていただきます。お忙しいところ、長崎県病院企業団企業長の矢野右人先生、岩手医科大学学長の小川彰先生、東京大学医科学研究科特任教授の上昌広先生の3人にお越しいただいております。よろしくお願い申し上げます。(中略)

 それでは、ヒアリングに移りたいと思います。まず、長崎県病院企業団企業長の矢野右人先生からご意見を伺わせていただきます。一応20分ということでお話をよろしくお願いいたします。

【長崎県病院企業団企業長・矢野右人氏】
 長崎の矢野でございます。よろしくお願いいたします。

矢野右人氏資料-02.jpg

 私は、30年ほど国立病院に勤務いたしまして、その病院が離島病院群の親元病院でしたので、医師の育成、それから医師の派遣に関与してまいりました。ちょうど10年前に退職いたしまして、長崎県の病院事業管理者として、現在11病院の経営、運営に携わり10年目になります。

 常に、医師偏在が非常に強い長崎県で、この10年、行政面から医師の偏在、医師の充足に努力をしてまいりました

 まず、結論から申し上げますと、現在の医療環境のままで医師の増員を図っても、医師の偏在は解消されないだろうということ。まず、医師の働きやすい環境をつくり、穏やかな医師の増員を図るべきと思っています。

 全国の医師偏在の縮図とも言えます長崎県の事例より意見を述べさせていただきます。
 

【目次】
 P2 → 医師が多い県、少ない県
 P3 → 県別医師数と患者数の相関
 P4 → 県別医師数と大規模病院
 P5 → 長崎県は医師偏在の典型
 P6 → 長崎県の医療圏別医師増減数
 P7 → 医師偏在の理由
 P8 → 長崎県の医学修学生制度
 P9 → 地域枠(義務年限)養成医の問題
 P10 → 医学奨学金全額返還の時期、理由等
 P11 → 長崎県の医療体制の在り方

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