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ニュース〜医療の今がわかる

後期研修班会議3

桐野
「分からないといえば分からない。米国がいいのかも分からない。少なくとも医療制度に関しては米国もメチャクチャだと思う。ただ多くの欠点があるけれど、少なくとも医学教育、専門医教育に関してはちゃんとしている。で、あれがどういう経緯でできたかというと1910年代にフレクスナーという人が全米の医学校を見て回って、いい所はいい、悪い所は悪いという評価をして、シカゴ周辺の10個ほどに関しては『悪の巣窟』とまで酷評して、全米にはびこっていたインチキ医学校が、全体のうち半分がインチキ学校として潰された。そういう経緯を経て、30年代に眼科から専門医制度が自律的に立ち上がって順次広がってきたということだ。そんなことわが国ではできない。せめて少なくとも専門医を取ったならば全員が加盟するような受け皿の組織を作って、それと同時に政府が専門医に報酬をつけるということで誘導したら何とかなりそうな気もする。ただ、社会や政府がそこまで専門医のことを重要と思うかは自信がない」

外山
「歯切れのよいお話で私も同意というか同じ思いを持ってきた。ただ現時点は、どのように実行するかが大事な時期に来ていると思う。要として、本格的な専門医制度を導入して、これからなっていく人に順次当てはめていくということ、全国の医師の統一された組織づくりを始めていくということにためには、やはりきちんとした後期研修制度を設けて、ガラス張りにする必要があるだろう。そうすれば必ずや心ある国民からのサポートを受けられる。学会や医局が決して同方向でない以上、もっと誠実に純粋にどういう組織づくりをするのか考えなければいけないし、考えているだけでなくまず、その方向で着手することが大事だ」

桐野
「学会によっては大変努力をされている所がないわけではない。しかし、それで良しとするには、余りにも不十分。機構のレベルを超えて、きちんとやってない所に対してはストップをかけられる位の権限が必要なんでないか。学会が悪いというわけではない。そうは思わないが、学会を代表して機構に出てくると、はやりの言葉で言うならば明らかに利益相反。同じメンバーであっても学会を外れてオールジャパンでということなら、きちんとした議論ができるのかもしれない。ある時点で一気にとか、全員を一気に移行というのは現実的でない。ある時点以降に卒業した人から順次というのが現実的だろう。米国ではそのようにしている。10年以内にシステムを確立してスタートしたとしても、医師の半数が入れ替わるまでに25年かかるのだから結局今すぐ始めても35年かかる。インターン制度が廃止されてから臨床研修必修化までも60年かかっている。そうやって考えると、今すぐ始めると宣言したとしても、そんなに過激な手法はならず、徐々によくなっていくのでないか」

土屋
「何年卒から適用というところがポイントだろう。現在は既卒の人の受験できる専門医資格が多すぎる。時間はかかるかもしれないが、しかしある程度の年限を加えないとムリということなんだろうと聞いた。専門医の実務と評価と組織を2つに分離すべきという話についてだが、専認協は実務を行う学会の集まりだ。ということは前者である。評価・認証を行う組織を学会から離れてどう作るかということになるのだろうか」

桐野
「非常に透明に作らないとダメだろう。私自身は勉強不足で知らないのだが、学術会議で各国のドキュメンテーションをやるべきでないかと思う。実は米国とドイツ以外のことは余り知られていないような気がする」

土屋
「たしかに英仏すらよく知らない。委託調査できるならしたい」

岡井
「専認協で評価・認証を強化しようとしたら、ある学会から猛反発を受けて困っている。やろうとしているができてないということだ。でも現実的に見て、専認協以外にどうやって作るのか。専認協を強化して支える方が早いような気もする」

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