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ニュース〜医療の今がわかる

「大人の解決」の道具、「宿日直許可」

 
 
■救急医当直への補助金は、経営者への負担増か
 
 
梅村
4月1日からスタートした「救急医療対策支援事業」。これには20億4496万7000円の予算がつけらた。今の救急医療は2次救急の崩壊によって3次救急に患者が押し寄せているので、2次救急医療にもこのような手当てをつけることは非常に重要なこと。その第1歩をこの予算で踏み出したことは評価したいと思う。救急当直等1回につき、土日祝日の昼間1万3570円、夜間1万8659円の積算単価が設定されたが、この補助金の負担割合は国1/3、都道府県2/3以内、市町村2/3以内、事業主2/3以内となっていて、仮に各都道府県、市町村がこの負担をしないとなった場合、事業主である救急病院が残り2/3を負担しなければ補助金として成立せず、逆に大きな負担となってくる。厚労省からすると、1万8000円のうち、6000円を補助しようという考え方だと思うが、今は民間病院も救急病院も財政が厳しく、経済的理由で撤退するという事態を招きかねない。
福祉医療機構から借り入れを起こしている約600の急性期医療を中心とした民間一般病院の「収益率」平均値が平成15年の1.8%から平成19年には-0.3%となった。医療機関側も1円も出せず、救急コストでいくと、一件あたり4万円でも取らないといけない状況「補助金は有り難いけど、自分たちも出さないといけないのか」と。本来これは「真水」ですべて国庫負担から出すとか、原理原則から言えば、診療報酬で手当てするのが基本と思う。緊急対策として作ったことには一定の評価するが、国庫負担の入れ方、診療報酬に将来付けるのか、など考えると、この出し方は現場の危機的状況を肌で感じていないのではないかと思うが。
 
舛添
現場が大事だと認識している。国1/3、都道府県2/3以内、事業主も同じ(2/3以内)だ。ただ、医療は都道府県が現場。医療方針の策定主体が都道府県だから、責任放棄は許すわけにはいかない。知事会と議論すると地方財政大変と聞くが、優先的に弾力的に運用だから、2/3満額とは言っていない。その分病院経営者にいかないようにどうするかという問題がある。2年に1回の改定だから、ここで議論していることが診療報酬に直結するかには、クッションがあり、私には隔靴掻痒。だから中医協のあり方、診療報酬のあり方含めて議論した方がいいと私は思っている。言った途端に批判受けるが。それが第1点。
現場が非常に厳しい。補正予算という形で、新たな経済対策を立てている中に、地域の現場が基本ということで、地域医療を充実させるための予算を相当付けるべく、財務当局と折衝している。この財源使うところで、委員のご懸念をなんとか解決したいと思っている。弾力化でできることをやって、いまさらにやりたいと思ってているので危機意識を持って対応したい。

梅村
ちょっとだけ視点変えて質問する。患者の視点を忘れている。当直明けの医師に手術してほしいかと。「医療現場の危機打開を目指す議員連盟」でも話題になったが、徹夜明けの状況すなわち24時間覚醒時の人間の注意力はアルコール血中濃度が0.1%。ほろ酔いから酩酊初期状態にあるといわれている。一般の人がビール飲んで車に乗ったら警察行きの状態だ。患者が受ける不利益から考えてこの労働実態が許されるのか、この観点から本来は入るべき。

舛添
仰る通り。ここの厚生労働委員会の半分ぐらいは医療関係者、そうするとどうしても医療サービス提供者側からの話になる。受益者、国民をどう守るかということの視点忘れたらいけないから、医療は財源が必要で、国家財政の足を引っ張る大元凶だ、みたいなことで残念ながら来た面がある。人の命が救われ、その人が一生懸命社会に貢献すれば、世の中が明るくなる。医療ミスで亡くなったら、家庭も社会も暗くなる、ミスを犯すような状況に置かれた勤務医も大変。医療は未来と希望への投資だと思っている。そういう哲学でやるんですよということでやりたい。その意味で国民にご負担をお願いするけど、その哲学でやる。
私も大きな手術受けたことがある、網膜剥離の緊急手術受けたが、眼科だから当直明けじゃないと思うので安心して任せられたが、内蔵や外科だとやめてくれと思うという気がするので、問題意識は共有している。

梅村
実はこの宿直問題は3つの観点から話すべき。1つは勤務医の労働環境の問題。2つ目が患者さん側からの問題。3つ目が、基金や補助金の話をされたが、大臣は給付と負担の議論が常に必要とおっしゃる。その中で消費税の話も出る。私は消費税より問題よりもまず保険料方式を維持してどうするかが基本と個人的には思うが、財政と国民負担と給付、これは常に議論すべき。大臣は補助金、基金と。しかし、本当に国民負担を議論するにはコストを国民に提示し、本当に必要な救急医療体制作るには、宿直許可でごまかしてやっていてはだめだと。本当はこの一つの病院に何人医師がいて、割増賃金はこれだけ必要と。だからそのコスト吸収するために診療報酬いくらにしないといけないと。この議論しないといけない。診療報酬決定の仕方は積み上げ方式だから、だんだんコストを吸収できない値段設定になっている。労働基準局長は現状では先ほどの答えしかできないと思う。しかし、国民の方に医療費が対GDP比8%だから、これを増やすために国民負担をお願いと言っても納得できない。国民が、『その負担をするならこっちの救急病院は縮小して、負担はこれぐらいにしてよ』という議論をする時に、法制上正しい働き方になるよう人員配置してコストをかけたら、どれぐらい負担するかということを示さないと議論できない。銀行からも、単価を示し、収益の計画を示さないとお金を融資してもらえない。「うどんが一杯いくらだ」と訊かれて「企業秘密です」と答えていては、それでは融資など受けられない。
3つ目の観点として、労働基準局への反論としては、本当の正しい意味での働き方、それによる医療提供の仕方。これはパンドラの箱を開けることになるかもしれないが、今まさにここに切り込まないと、国民負担の問題にもつながらない。医療費を増やすことにもつながらない。ここは労働基準局から言うと、いろいろ『今の制度の中での仕組み』というが、私はここは勇気を持ってパンドラの箱を開けるべき時に来ていると思うが。大臣は取り組むつもりがあるか。あるいはパンドラの箱を開ける決意があるかどうか。

舛添
一人の人間が旧厚生省と旧労働省を、大変な仕事だが、やっていることの意義がまさにそこにあると思っている。ただ、開けようとしたときに「閉めろ」というものすごい圧力が外にある。しかし、国民のために考えてきちんとやりたいと思う。その議論をこの厚生労働委員会でも続けていければと思う。その委員会はその意味で、今朝の議論は世の中を前に進める大きな原動力になっているということで嬉しく思う。

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