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「眼科」「外科」「産婦人科」は黒字 ─ 診療科の収支を改定に反映か

■ 調査の内容


 計算方法や計算単位などについて説明した。事務部門のように収入を生まない部門の費用を他の部門に割り付けるなど、「階梯式配賦」という方法を使ったことや、類似するレセプト診療科をまとめた「診療科群」を設けたことなどを説明した。

[小野太一・保険医療企画調査室長]
 (診療科別収支の)計算方法は、例年通り「階梯式配賦法」。「階梯式」の意味については、病院の診療科や部署を「入院部門」「外来部門」「中央診療部門」「補助・管理部門」─の4部門に分ける。

 このうち、「中央診療部門」と「補助・管理部門」の収益と費用を段階的に「入院部門」と「外来部門」に配分するという手法。

 ※ 前回会合(2008年6月13日)での池上直己委員の説明は次の通り。

収支計算の方法として、大きな部門は「入院」「外来」、あとは「中央診療部門」。「中央診療部門」は、手術とか中央検査部門とかそういうもの。「補助管理部門」は、例えば事務部門など。
 そうしますと、まずそれぞれの部門に発生する費用および帰属する収益を割りつけていくわけでございますが、イメージとしてごらんになっていただくと、「補助管理部門」というのは収益が全くないわけですね。これは事務管理をしているわけですから、清掃など、その部門に帰属する収益というのはないので、これは費用だけが発生する。
 次に、「中央診療部門」というのは、例えば手術部門ですと手術という手術料収入が、収益が入ってきますし、また手術部門として材料費や人件費が発生すると。それをさらに、それぞれの診療科の入院と外来に割りつけていく。これを我々の言葉で「配賦」(はいふ)と言っておきます。そのように、各部門に事務部門なら事務部門、薬局なら薬局、手術部門なら手術部門というふうに、それぞれに発生する費用と収益をそこに配賦していって、そして最終的には診療科ごとの入院、外来を見ていくわけでございます。
 で、見た結果が、ざっくり見ると、「入院」は総じて黒字になっています。「外来」は総じて赤字になっています。
「階梯式配賦」のイメージ.jpg 「計算の単位」について、今年度調査の工夫としては、レセプト診療科での収支に加えて、類似するレセプト診療科をまとめた「診療科群」を設けた。

 というのは、レセプト診療科でやると医療機関ごとの主観が入ってしまう。それをできる限り排除するという形での集計を試みたというのが、今回工夫した1つのポイント。

 ※ 前回会合(2008年6月13日)での池上直己委員の説明は次の通り。

調査研究の検討課題は、「診療科の区分の検討」でありまして、「標榜診療科」と「レセプト診療科」の対応づけは病院により異なっております。
 例えば、腎臓の透析については、これは病院においてかなり収益上貢献しているわけですけれども、病院のレセプト診療科としては「内科」であったり「泌尿器」であったり、「循環器」になっていたりして、この辺を統一しないとちょっと比較が難しいので、これは今後の課題として対応する必要があると思います。
 あるいは、「呼吸器科」「消化器科」「循環器科」、これらの標榜科名は順次なくなることになっておりますけれども、これはレセプト診療科の内科に対応づけている病院もあるし、あるいは対応づけていない病院もあるので、こちらのデータとしては「レセプト診療科」として見てきたわけですので、こういった問題があります。
 「レセプト診療科」単位に加えて、目的に応じて「類似診療科」を囲って集計したというのは、実はそういうわけで、「内科系」「外科系」「産婦人科系」にくくって見たほうが、より合理的な比較ができるのではないかと考えた次第です。しかし、「精神科」「小児科」「放射線科」「麻酔科」というのは、これらにうまく対応できませんので、これはそのままにくくられております。なお、「放射線科」「麻酔科」というのは、標榜科目としてある、あるいはレセプト診療科目としてあっても、実際にはこれは中央診療部門に近い位置付けでありますので、これらについてもまた検討する必要があるかと思います。今後は、そのレセプト診療科で把握できない診療行為、透析や救急等を別に算定できれば、なお一層有益な情報が得られると考えております。
 この「診療科」(36区分)と「診療科群」(11区分)との対応は5ページに出ている。後ほど(調査結果の)説明の際には、この表をご参照いただきたい。
< 診療科群 >
1. 内科群
2. 小児科群(小児科)
3. 精神科群(精神科、神経科)
4. 外科群
5. 整形外科群(整形外科、リハビリテーション科)
6. 産婦人科群(産婦人科、産科、婦人科)
7. 眼科群(眼科)
8. 耳鼻いんこう科群(耳鼻いんこう科、気管食道科)
9. 皮膚科群(皮膚科、性病科)
10. 麻酔科群(麻酔科)
11. 放射線科群(放射線科)
○ 内科群
内科、神経内科、呼吸器科、消化器科、胃腸科、循環器科、心療内科、アレルギー科、リウマチ科
○ 外科群
外科、形成外科、美容外科、脳神経外科、呼吸器外科、心臓血管外科、小児外科、皮膚泌尿器科、こう門科
6ページは収益や費用について。医業収益や費用にはこれらが入っている。

 ▼ 病院会計準則に則った損益計算書で1か月分の損益の記載を求め、科目ごとに定めた基準により収益・費用を各診療科に計上した。

 調査の種類と内容については、これ(資料)をご覧いただきたい。計算結果は7ページ、外れ値の処理は8ページに記載した。では早速、(調査結果の)内容に移りたい。9ページから。

 【目次】
 P2 → 調査の概要
 P3 → 調査の内容
 P4 → 入院、外来別
 P5 → レセプト診療科別
 P6 → 診療科群別
 P7 → 患者1人1日当たりの医業収支
 P8 → 収支率の分布
 P9 → 「等価係数」について

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