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ニュース〜医療の今がわかる

地域医療の荒廃、「選択と集中」が原因

■ 「全体的に見ていかなければならない」 ─ 日医
 

[藤原淳委員(日本医師会常任理事、中医協委員)]
 (2008年12月24日に閣議決定された)「中期プログラム」(のうち2011年度までに実施する重要事項)について。

(医療)
 ・ 地域医療再生のため、5年間程度の基金を都道府県に設置し、地域全体での連携の下、計画に従って、以下の事業を地域の実情に応じて実施して、地域医療再生。強化を図る。
 ・ 2013年度からの都道府県医療計画の改定に向け、急性期医療の新たな指針を作成する。
 ・ 2010年度に見込まれる診療報酬改定において、「選択と集中」の考え方に基づき、診療報酬の配分の見直しを行うとともに、救急、産科等の体制強化などの方策を検討する。
 ・ 地域間、診療科間、病院・診療所間の医師の偏在を是正するための効果的な方策及び医師等人材確保対策を講ずる。
 ・ 看護師等の専門性を更に高めるとともに、医師と看護師等との役割分担が可能な行為を一層明示・普及し、業務範囲と責任の所在を明確にしつつ、チーム医療・役割分担を積極的に推進する。
 ・ 医療新技術に対応するための革新的医薬品等の開発支援を行う。
 ・ 後発医薬品の使用促進等、医療の効率化を進める。
 ・ 「規制改革推進のための3か年計画(再改定)」を踏まえ、2011年度当初までのレセプトの原則完全オンライン化を進める。
 中段に、「選択と集中」の考え方に基づき診療報酬の配分の見直しを行うとされている。

 先ほどの(厚労省の)説明の中で、これは単に病診の配分の見直しだけでなく、(診療)科と(診療)科の配分とか、いろいろなことが考えられるという意味合いの説明があった。

 地域医療の荒廃の原因の1つとして、「選択と集中」があったのではないかと私は考える。今回もまた、「救急医療に対して重点的に」という方向性が垣間見えるが、これまでの診療報酬改定の中で、救急あるいは産科、小児科も含めてだが、かなり手厚く配分されてきたのではないかと思う。

 その1つとして、7月10日の「中医協の医療機関のコスト調査分科会」では、部門別収支で「入院は黒字、外来は赤字」という結果報告がなされている。

 これは主にDPC病院(が対象)だが、DPC病院といえば、急性期病院をイメージするが、そういう(外来が赤字という)状況にある。問題は、「外来赤字」をどう考えるか。(外来管理加算の見直しなど)ここに診療報酬をつぎ込んで、どんどん行くということをまず考えないといけないと思う。

 まさに、(「選択と集中」は)「外来部門の効率化が必要だ」ということを示しているのではないか。「医療提供体制の中で機能分化と連携が必要」ということを言っているのではないか。そういった対策が必要だということが示されているのではないかと思う。

 財政審(財政制度等審議会)の(春の建議の)中で、開業医、診療所に財源が偏っているということが指摘されている。

 しかし実際、日本医師会の昨年4月の調査では、「TKC全国会」、これは税理士と公認会計士のネットワークだが、診療所の損益分岐点は96.2%から98.9%。非常に小回りが利くといわれる診療所においても、非常に危機的な状況になっている。

 それから、勤務医の開業医志向が財政審で指摘されているが、この5年間の厚労省の(医療施設)動態調査を見てみると、(診療所の増加は)平成16年は1004、平成17年も1004だったが、平18年が582、平成19年は825、平成20年はなんと74施設。

 私はそれが中医協で発表された時に聞き間違えたのかと思って、その具体的な数字を尋ねたが、それほど今は開業医志向というのは......、勤務医の先生方、そのようなことを思っていないのではないかと思う。

 このままでは病院だけではなく、診療所も疲弊して地域医療が崩壊するということも言えるような状況が起こってくると考える。言いたいことは、診療報酬の配分の見直しではなく、やはり医療費全体の底上げが必要だと考えている。

 それからもう1点。資料1─7(平成20年度診療報酬改定の結果の検証)には書いてなかったが、病院勤務医の負担軽減策の(検証調査の)中で、医師の勤務実態調査を実施しているが、個々の状況を見てみると、医師1人当たり1日外来の診察患者数は28人、医師責任者は32.6人だった。担当入院患者数が10.9人、直近1週間の実勤務時間は61.3時間。(中略)

 (勤務医の環境が改善していないという)この状況も勘案して、全体的に見ていかなければならないと思う。以上。

 【目次】
 P2 → 「さまざまな配分の見直しが考えられる」 ─ 厚労省
 P3 → 「全体的に見ていかなければならない」 ─ 日医
 P4 → 「昨今の経済情勢や健保組合の財政に配慮すべき」 ─ 経団連
 P5 → 「医療は『選択と集中』よりも『分散と公平』で」 ─ 樋口委員

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