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国立大NICU整備計画、医師の「引き上げ」は無し

 国立大のNICU(新生児集中治療管理室)病床数を増床してNICU未設置の大学をなくすなどの内容を盛り込んだ「周産期医療体制整備計画」が今年度から始まることに伴い、不足が深刻な新生児科医の大学への引き上げが懸念されている問題で、増床予定と報道された24校のうち22校で医師の"引き上げ"はなかったことが、阪大医学部小児科の和田和子講師の調べで分かった。(熊田梨恵)

 昨年に相次いだ妊婦の救急受け入れ不能の問題を受け、文科省は今年度から4年の計画で、NICU未設置の国立大病院をなくし、半数の病院で現在の平均約11床(GCU(継続保育室)、MFICU(母体・胎児集中治療管理室)含む)を20床にまで増床する「周産期医療体制整備計画」を打ち出している。ただ、この計画をめぐっては、NICU増床を歓迎する声がある一方で、不足が深刻な新生児科医の大学への"引き上げ"が起こり、地域医療に打撃を与えることが懸念されている。

 和田氏は今年6月に増床予定と報道された24校にアンケートを実施。22校から回答を得て、このうち2校に増床予定はなかった。増床内容には後方病床のGCUも含まれ、GCUの増床のみだった大学もある。

※増床予定と報道された24大学...国立大(16校)旭川医科、弘前、新潟、群馬、山梨、信州、富山、金沢、京都、滋賀医科、広島、島根、山口、愛媛、長崎、熊本▽公立大(2校)名古屋市立、大阪市立▽私立大(6校)東京医科、慶応、愛知医科、大阪医科、川崎医科、産業医科

 NICUを増床すると答えたのは14校で計51床の増床となり合計120床になる。平均増床数は3.6床。GCUの増床は15校で計85床の増床となり合計185床。平均増床数は5.7床。回答があった大学の平均病床数はこの増床によってNICU8.6床、GCU12.3床に増える。医師の引き上げの有無については、すべての大学がなかったと回答。周産期部門にとって増床を「歓迎している」と答えたのが20校中15校を占め、「困惑している」と答えたのは3校にとどまった。

 自由記述では、「母体救急の受け皿になっているため、NICU満床を理由に断れず、定床オーバーとなり、社保からお叱りを受けていた。今回の整備で救われた」「総合周産期を申請する」「先天性疾患をNICUに取り込むことができ、看護体制を充実化できる」「症例数が増え、研修医、救急救命士の教育病院としての機能が向上」など、増床をプラスに捉えるコメントがあった。一方で、「人件費や改修工事費への弾力的な運用ができないか」「複数年度で段階的に運用できないか」「人件費に使えないので新生児科医への負担軽減にならない」「後方病床の充実も重要」など、柔軟な運用を求める意見があった。

 この調査に関する、和田氏のコメントはこちら。→「大学病院」のNICUを充実させるのは今―教育と人材確保を

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