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認知症対策も「ハコモノ」か

■ 「センターの鑑別診断が大変重要」 ─ 厚労省課長
 

[遠藤久夫委員長(学習院大経済学部教授、中医協会長)]
 それでは定刻になりましたので、ただ今より第146回中央社会保険医療協議会・診療報酬基本問題小委員会を開催いたします。まず、本日の出欠状況ですが、本日は高橋委員の代理で全日本海員組合の清水保さんがお見えになっております。それから、中島委員(日本労働組合総連合会総合政策局長)、西澤寛俊委員(全日本病院協会会長)が少し遅れる旨の連絡を頂いております。なお、保険局長は公務のため欠席される旨の連絡が入っております。

 それでは、議事に移りたいと思います。まずは、「認知症対策について」を議題といたします。事務局(保険局医療課)から資料が出ていますので、説明をお願いしたいと思います。

[保険局医療課・佐藤敏信課長]
 医療課長でございます。いつものように本文・本体と(参考)資料という構成になっています。ポイントだけ、かいつまんで説明いたします。(中略)

 ▼ 資料の本文(要約)は以下の通り。

○ 認知症医療の提供体制
 
 高齢化で認知症が増加 → 医療から介護への切れ目のないサービスを提供する必要あり
 → ① 認知症疾患医療センター
    ② 地域包括支援センター等を介したネットワーク(相談・支援体制)

 ▼ 「認知症疾患医療センター」は、都道府県や政令指定都市が指定する病院に設置する。初年度の08年度中に150か所を設置する目標に対し、まだ51か所。整備が進まない理由として、実施主体となる自治体の財政難を挙げる声もある。医療機関の負担も深刻で、「精神保健福祉士などの人件費を賄えない」との声もある。では、補助金を増やせば解決するのだろうか。

○ 現状と課題
1 認知症の患者数 → 増加傾向

2 認知症の症状
 「中核症状」と「周辺症状」がある。両者とほぼ重なる概念として「BPSD」がある。

 ▼ 「中核症状」とは、物忘れや判断力の低下など脳機能の低下を直接示す症状。「周辺症状」とは、徘徊や暴力など中核症状に伴って現れる精神・行動面の症状。「BPSD」は両者とほぼ重なり、暴力、暴言、徘徊、抑うつ、幻覚、妄想などの症状。

3 認知症疾患の患者数
 患者調査では、約32万人(外来:約24万人、入院:約8万人)。一方、介護保険による推計値では、約169万人(居宅:約83万人、入所86万人)が自立度Ⅱ以上の認知症高齢者。 → 医療保険だけでなく、介護保険の対象となる患者も多い。
 また、早期の鑑別診断、周辺症状の治療や急性期の身体合併症への対応などについて医療の提供が必要。

4 入院患者
 1年を超える長期入院が増加。「認知症病棟」でも、他の精神病棟と比べて退院が困難な傾向。
 
 ▼ 認知症病棟(旧認知症疾患治療病棟)とは、精神・行動面の症状が特に著しい重度の認知症患者を治療することを目的とした病棟。

5 退院できない理由
 「転院・入所順番待ち」が約54%と最多。また、入院患者の6 割強について、「ADLへの濃厚な支援」が必要。

 ▼ 90日を超えて認知症病棟に入院する患者の約5割弱が退院可能とされているが、退院に結び付かないという。その理由として最も多いのは、「転院・入所順番待ち」(約54%)。同日の意見交換で、鈴木邦彦委員(茨城県医師会理事、日本医療法人協会副会長)が「ADLへの濃厚な支援」の意味を質問、佐藤課長は「監視」「見守り」などを挙げた上で、療養病床のADL区分よりも「広い概念があるのじゃないか」と回答。具体的には、「手間がかかる、世話が焼けるというような部分」とした。

6 医師への研修等
 地域で認知症患者を診療する医師のため、「認知症サポート医研修」、「かかりつけ医認知症対応力向上研修」を実施。

7 今後の課題
 「適切な目標値を定める」とされている。

 ▼ 資料によると、認知症の有病率等に関する調査結果等に基づき、▽精神病床(認知症病棟等)や介護保険施設等の入院・入所機能のあり方とその必要量等 ▽介護保険施設等の生活の場のさらなる確保と介護保険サービスの機能の充実─について検討を行い、適切な目標値を定めることとされている。

○ 診療報酬上の評価
 
1 入院
 認知症病棟入院料(精神病棟)

 ▼ この入院料の点数は全部で4種類。前回改定で引き上げた点数は計40点だが、下げた区分も計20点あるので、結局20点しか上がっていない。「あっちを上げてこっちを下げてバランス」という、いつもの手法。ただ、ここで問題にしたいのは、「どこを上げてどこを下げたのか」ということ。上げたのは、点数が高い「入院90日以内」。下げられたのは、各区分で最も多く算定されている「入院91日以上」。同入院料の点数は次の通り。太字部分は08年に最も多く算定された点数。【認知症病棟入院料1】イ 90日以内の期間(1,330点、1日につき)、ロ 91日以上の期間(1,180点、同) 【認知症病棟入院料2】イ  90日以内の期間(1,070点、同)、ロ 91日以上の期間(1,020点、同)

 「認知症病棟」以外では、主に「精神療養病棟」「療養病棟」に入院している。

2 外来
 診療情報提供料(Ⅰ)

 ▼ かかりつけ医が認知症の疑いがある患者を早期に発見し、専門の医療機関に紹介した場合を評価。算定件数が200件と少ない。

○ 論点
 
1 認知症に係る入院では、条件が整えば退院可能な患者が多くいるが、適切に介護保険と連携し、認知症にかかるネットワーク(相談・支援体制)の整備を進めて行くために、診療報酬上、どのような対応が考えられるか。

2 療養病棟においては医療区分やADL区分に応じた評価が行われているが、精神療養病棟では、患者の病態像によらず一定の評価となっている。認知症による入院患者については、ADLへの濃厚な支援が必要との指摘もあるが、診療報酬上、どのような対応が考えられるか。

 ▼ 佐藤課長は次のようにコメントした。「一般の療養病棟においてはご存じのように医療区分やADL区分に応じて9区分に分け、支払いは5区分になっている。精神療養病棟はいきなりそういうところまではなかなか難しいと思うが、今フラットの評価になっているが、今後、どういうふうに対応していくのか。特に濃厚な支援が必要な方、BPSDみたいなこともあるので、どう対応していくのか」

3 認知症に係る外来医療について、専門医療機関と地域のかかりつけ医が連携して医療を提供していくため、診療報酬上、どのような対応が考えられるか。

▼ この論点では次のようにコメント。「認知症疾患医療センターのような所で、鑑別診断や周辺症状の急性期対応が大変重要なので、こういった所との連携も重要ということになる」


【目次】
 P2 → 「センターの鑑別診断が大変重要」 ─ 厚労省課長
 P3 → 「システム、体制の整備が重要」 ─ 厚労省課長
 P4 → 「固定的なADL評価は難しいだろう」 ─ 安達委員
 P5 → 「近くの病院に紹介すれば取れる仕組みに」 ─ 鈴木委員
 P6 → 「区分の方向はいいが、実態調査を」 ─ 白川委員
 P7 → 「通常のADL区分より広い概念がある」 ─ 佐藤課長
 P8 → 「地域の中小病院に手厚い診療報酬上の対応を」 ─ 嘉山委員

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