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「病院は植民地じゃない」・・・幕内・広尾日赤院長吼える


 大嶽(MBAでもある)
「600億円という数字に驚いた。床面積だけで比較しちゃいけないが、がんセンターが約8万平方メートル、帝京大の新病棟は11万平方メートル。ハッキリした数字は言えないのだけれど、我々は600億円の半分をはるかに下回る金額で作った。あまりの相場観の違いに驚く。ボッタクリバーに入ったみたいと言った知事の気持ちが分かる」

(略)

 幕内
「運営費交付金みたいのが出るはず。財投で借りた金は全部政府が返すことになると思う。東大では、僕がやめる時に年間80億円出ていた。そのうち60億円が財投の返済に充てるもの、20億円も余分に来る。文学的には、職員が大切にされているという感覚を持って働くということと、もう一つは働いたものに十分な賃金が払われるということが基本。ただ、僕らは給与体系を全部決められていてニッチモサッチモいかない。(略)で、僕らの組織にとって一番大事なことは日赤本社と各病院の関係で、病院は本社の植民地じゃないということを徹底しないといけない。要するに搾るだけ搾ってあとは知らんよではいけない、搾った分以上にお金を返してくれと、何らかの形で働いた人に還元されることが必要だろうと思う。これから、がんセンターには労基署が入ると思う(幕内氏は院長就任早々に是正勧告を受けたことがある)。皆さんのやっている当直は当直じゃない。当直というのは泊まっていて夜中に1回か2回か見て回るものだそうだ。普通の業務をやる場合は、時間外手当を出す必要があって本俸の1・5倍ということになっている。ウチでも月に数千万円のお金がかかる。年にすれば数億円のお金が必要。そういう意味でも、これから大変だ」

 土屋
「その通り。これまでは国家公務員法でやってきて労働基準法違反には問われなかった。来月からはICUも動かなくなる、当直も動かなくなると困ってたら、本省から、ICUの人数を増やせと言ってきた。昨日まで総定員法でダメだと言ってたのが、辻褄合わせのために予算もないのに、そういう命令が来るのが今の厚生労働行政のシステム。

 組織が変わるときに何が大切かと言えば、職員全体が理念を共有して方向性をしっかり見定めるということなんだが、これができないで困っている。というのも、院長に人事権のあるのは医者だけ、それも本当のところはない。3月31日まで部長以上の人事権は厚生労働大臣、それ以外は総長ということで院長には誰1人いじれない。看護師にいたっては看護部長は4月に定年を迎えて新しい人が来るのだけれど、この間、本省の看護課長から、この人にしますと言ってきて、これを受けろというので新しい理事長候補者が受けられないと今突っぱねている。こうやって大きく変わろうという時に一番肝心な部長に我々の知らない人間を押し込んでくる。従って職員が理念を共有しようにも、私がここで何を叫んでも下まで伝わらないということになる。これをトップが右だと言えば全員右へと伝わって、魚の群れが動くようでないと変えられないということで、私どもは今焦っているわけだ。何とか3月31日までに、4月からそう動けるようにしたいと思っている」

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