文字の大きさ

ニュース〜医療の今がわかる

中医協委員、大阪で現場医師らと診療報酬を議論


②医療材料費と薬剤費「薬剤費を上げるばかりの主張は無茶」
司会
淀川キリスト教病院の張野正誉先生、本田内科医院の本田孝也先生から質問を頂いております。医療材料費と薬剤費ということで、よろしくお願いいたします。


張野
淀川キリスト教病院の副院長をしております、眼科医の張野と申します。私立病院に勤めております。

医療材料の取り扱いについての基本姿勢についてお伺いしたいと思うのですが、講演の中でも出ておりましたように技術(技術料)と物(材料費)の分離ということ、これが本来の姿だと思います。難易度の高い手術の保険の支払いがよくなって、これは非常にありがたいことで、邉見先生や嘉山先生のご尽力には感謝したいと思います。私は今も手術をしておりますが、白内障の手術に関する眼内レンズ、ディスポの材料などが高度化、高額化していてそれに伴って包括化の手術の中ではどんどん技術費が、逆に目減りしている状態です。例えば眼内レンズですけれど、患者さんに対しては新しいレンズになってもそれがいいレンズを入れてもらっているのか、旧態依然とした安いものを入れられているのか、ご自身がご存じないわけですね。そういうことも問題ではないかと思います。またディスポ材料の高額化ですが、感染のリスクを避けたいということでディスポをたくさん使うことが推奨されていますが、それが厳格に行われていると手術は赤字になっていきます。

私自身は混合診療についても基本的に賛成ではありませんけども、材料は自費で購入したりとか、あとで点数化して保険で補てんしていかないといけなくなるのかなという印象もあります。そこでやはり技術の評価をエビデンスを基にどうやってやっていくのか、心臓マッサージが2900円(嘉山氏の講演内容)というのも今日初めて知ったんですけれども(会場笑)、それが高いか安いのか、それをどうするかということ。先進医療で一部評価されているところもありますけどそれとの評価を今後どういう風に分けたり拡大していくのかという方向性についてご意見を頂きたいと思います。

*簡単に言うと、現在の診療報酬は医師の技術料と使われる材料費が一緒になっているため、材料費が上がった分だけ技術料は減ってしまうということ。患者のためにと質の良い高額な材料を使うと、医療機関側にとっては得られる報酬が少なくなるというジレンマの話。このため材料費は別に考えられないかという主張。

嘉山先生.JPG嘉山
私の話の中でもお話ししましたが、基本的にはやはりテクニカルフィー(技術料)とマテリアル(材料費)は分けて出すべきだと思います。包括から出すべきだというところは変わらないです。ただ国民は質のいいものを使っているのか悪いものを使っているのか分からない段階です。日本中同じだと国民は考えていますからね。その国民の理解が一番大事で、国民の理解が浸透したところ、一気にか徐々にか、やっていくことで受け入れられて、財務省も(財源を)出していくと思うんですね。だから一時問題になったんですけど領収書は、先生の場合だったら眼内レンズいくらとかですね、書き込むような形にすれば国民は「技術料がないんだ、材料費だけで手術を受けて目が見えるようになってるんだ」ということが分かりますから、私は領収書に全部書き込むようにして国民の理解を得ていくのが、まず最初はスタートじゃないかと思っています。


司会
本田先生ご意見の方、お願いいたします。


本田
本田でございます。薬剤費と特定保険(医療)材料についてご質問します。中医協の資料を拝見しても、薬剤費に関しては出来高の部分の数値はあるんですけど、包括を含めた場合の医療費の中に占める薬剤の割合というところにはっきりした数字が出てきてなく、昨今の医療費の伸びの中にそれがどれぐらい占めるか、非常に重要な問題だと思うのですけど、嘉山先生の方からエビデンスに基づき必要な評価を行うという話がありました。その観点からすると現在の薬剤費これを嘉山先生の話で薬価の高止まりの是正という話がありましたけど、大体に削って例えば2年前は5000億削ってそこからスタートしましたけど、これが8000億ぐらいまで削ってからその部分を医科本体に回す、そういうことはできないだろうかという質問でございます。

*簡単に言うと、医療費の中で薬剤費が占めている部分をもっと医療に回せないかという話。

*薬価についての詳細はこちらを参照。

嘉山
このことについては私より安達先生の方がお答えを持ってるんじゃないかと思うので安達先生にお答えいただく方がいいと思います。私の考えを言いますと、脳卒中の治療でも包括の中に「エダラボン」(脳保護剤)という高い薬が入ってるんですけど、そうするとエダラボンを外に出した方がいい(包括に含めない方がいい)という現場の医師の声もありますので、このことについて詳しい安達先生から答えて頂きたいと思います。


安達
さっきは時間がないので飛ばしました。例えば「リウマトレックス」*(抗リウマチ薬:一般名「メトトレキサート」)の最初の値付けなんかは明らかにおかしいわけです。「メソトレキセート」(抗がん剤)と同じものです。ですが原材料の量から言えば5倍ぐらいの値段がついてしまいました。類似薬効(比較)方式*で決めるからそうなるんです。それがリウマトレックスの後発品が作れるようになるとこれはカプセル剤じゃなくて錠剤ですから、もともとのメソトレキセートと同じなんです。同じ錠剤でメソトレキセート2.5mmでリウマトレックスの後発は2mm入ってる。なのにリウマトレックスの後発品だから、もともとのメソトレキセートよりはるかに高いというおかしなことが起こります。
*リウマトレックスの薬価...320.1、メソトレキセートの薬価...43.8
リウマトレックスの後発品、「メトトレキサート錠2mg「タナベ」」薬価198.5、「メトレート錠2mg」薬価230
*類似薬効比較方式・・・同じ効果を持つ類似薬(効能及び効果、薬理作用、組成及び化学構造式、ニ投与形態・剤形区分・剤形・用法)がある場合、新薬の1日薬価は既存類似薬の1日薬価に合わせて決められている。


このルールはやはり根本的に見直さないといけない。基本的には私は原価計算方式*でやるのがいいと思言っています。ところが今の薬価の話が新薬創出加算の要望、先ほど邉見先生がお出しになったけどこれを恒久化してくださいと。必要と思われる医薬品で引き下げていくと採算割れするものは、今までは採算割れしたら点数を上げていたんですが、そうじゃなくて採算割れする前にそこで価格を止めてくださいと。それで市場拡大したものの引き下げはやめてくださいと。もう一つ実はあるんです。決められていない厚労省からの提案があるんです。原価計算をする時のいわゆる利益率の数字を変えましょうという提案です。つまり上げましょうということ、値段は上がるということです。エビデンスはあるんですが、詳しく申し上げるとなんですので、エビデンスそのものの意味がなんなのかということをまだ厳しく問いかけておりますし、その回答を厚労省からはまだ中医協でもいただいていません。今後の議論だと思います。お分かり頂けると思いますが、薬剤費は上がる方ばかりが医薬業界のご希望です。このご希望はなんぼなんでもすべてそろって言えば無茶じゃないですか、ということがまず一つ。
*原価計算方式...新薬にかかる原材料費、製造経費などを積み上げて決められる。

しかしながら一方にはドラッグラグの問題があって、特にアメリカの製薬企業はきわめて強い。それでアメリカでやっていて日本に入ってこない場合がある。それをどう考えるか、ということとのバランスもとらないといけないんですけど、薬価の決め方に関する製薬業界のご要望は私は、今の3つプラス1の4つを入れて言うと、かなり虫のいいご要望の部分もあるということは間違いない。基本的には原価計算でやるべきだろうと思っていますし、原価計算が高額になるときのみ、類似薬効方式を使うというのが正しいのではないかというふうに考えています。この話をすると1時間ぐらいの講義になってしまうので、大筋で申し上げるとそういう風になると理解しておりますが、という事だけ今日は申し上げておきたいと思います。


司会
ありがとうございました。嘉山先生いかがですか。


嘉山
中医協内の話を今安達先生はおっしゃたのですが、薬の問題は非常に大きな問題でして、今後日本がどういうことで生きていくかという時にですね、やはり薬業の産業を興す必要があるんですね。日本はその種を持ってますから。ほとんどはアメリカの製薬企業のタネは日本から出て行ってるんですよね。それで向こうで製品化されてしまうと。アメリカの場合、新薬の開発はアメリカ国家がお金を出しているんです、治験とかに。日本の薬業界がアメリカに出て行っちゃうのは、アメリカは国を挙げてやれる。日本は治験が進まないというのはそういうこと。薬業界だけなんです、国の税金が投入されていないのは。たとえば光エネルギーの開発だとかには国が研究を推進するお金を出している、しかし医療界にはお金を出していないというところがありますので、非常にジレンマがあるんですね。抑えちゃうと今度は日本が世界に通じる薬を持てなくなりますから。今日本は第3位から落っこちちゃったんですよ。新薬の創出の(日本は新薬創出国として世界3位。1位米国、2位英国、2010年)。それまで2位だったんですけど。そういうのは国際競争力という面も考えてやらないといけない。だから私としてはちょっとジレンマなんです。どうしたらいいか分からない。


司会 本当に先生の仰る通り、日本の製薬メーカーを育てるという観点は大事だと思うのですが、なぜ医療現場からその原資を持ってくるのかということで、やはり国が関わってくると製薬メーカーに対する税制面で補てんすべきなのを、我々のいろんな努力した大事な収益から持って行くのはどうかと思うんですけども。この議論は本当にまだまだあると思うんですが、後程また新薬創出加算のところで触れさせていただきたいかなと思います。

  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
サイト内検索
loading ...
月別インデックス