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救命センターの評価項目が厳格化



■労基法遵守できるか

 
 今回の評価項目には、医師の労働環境に関する項目も加わった。
 
 医師の過重労働を解消するため、厚労省は2007年末に、医師と看護師や助産師など医療職の役割分担を進めることを求める医政局長通知を出している。これに関する具体的な計画を策定して職員に通知している場合はプラス評価5点となり、していなければマイナス評価5点。
 
 また、労働基準監督署から宿日直許可を受けている医療機関の場合、回数や手当など労基法の遵守状況を四半期ごとに点検・改善している場合は、プラス評価4点。また、休日・夜間にセンターで診療する医師に交代勤務制を導入している場合はさらに4点加点になる。
 
 廣瀬医師は救命センターが労基法を順守することについて、現状は難しいと指摘する。「当院でも救命救急センター専属の救急医には、何とか交代勤務制を組んでいる。ただ、当直を行うすべての医師に交代勤務制を導入することはできていない。現実的にどこの病院でも難しいのではないか」。
 
 勤務医の労働環境に詳しい聖隷浜松病院腫瘍放射線科の崔秉哲主任医長は「労基法を遵守するにはお金と人の問題がある。救命センターの場合は人件費よりも、そもそも救急診療ができる医師の絶対数が少ないことが問題。当直医を確保するだけでも難しいし、労基法に準拠した人員の配置が全く想定されていない」と話す。
 
 
■「トリアージナースは病院の体制による」
 
 このほかの項目には、救急外来患者にトリアージ(重症度や緊急度による選別)を行える看護師や医師の配置をプラス評価する項目がある。東京都内の3次救急を担う昭和大病院(品川区、853床)の有賀徹救命救急センター長は、トリアージは病院の機能によって発揮される場合が違ってくると話す。「トリアージはそもそも小児救急など時間外診療が前提になっているような医療機関に導入するとよいもの。救命センターによっては、搬送人数は少ないが、重症度の高い患者が運ばれてくるためトリアージなど実施せず、すぐに診療するのが当たり前という病院もある」。廣瀬医師も「看護師も医師以上に不足していて、当院では処置につくだけで手いっぱいで、トリアージナースまでは難しいのが実情」と話す。
 
 日本救急医学会の理事も務める有賀氏は、「この評価項目は厚労省から『救命センターをやめてもいい』と言われたということだと受け取っている。実施されるまでの1年間でこの評価項目を白紙に戻してほしい」と話す。また、補助金が減額されることで、3次救急がになっている機能が果たせなくなるとも言う。「救命センターは、病院にとってそもそも赤字部門。これで補助金が減額されたら、病院としてはセンターを返上して黒字部門に医師や看護師を配置しようと考えるのが普通。現在の3次救急は医療費を支払えないホームレスなど社会的弱者を受け入れているが、彼らの受け手がなくなる。そもそもそうした役割を果たしている病院に対して『赤字を補てんする』という考えが間違っている。本当は患者が救命センターに搬送される前後に地域社会が支えるような、福祉的支援を整えるべきではないか。本当に救命センターが社会のインフラとして必要なのであれば、赤字にならなくてもやっていけるような体制にしておくことが必要」と話す。
  
 これについて、厚労省医政局指導課の担当者は「実際、医療機関にとって厳しい項目になっている」との見方を示す。ただ、現場からの声に関しては、「この評価が出ることで自分たちが厳しい状況に置かれていると世間にアピールすることができ、勤務環境の改善につなげられると、現場の医師から良い評価もいただいている。補助金の額も年々上がっているので、医療機関には頑張っていただきたい」と話している。


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