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なぜ、「配合剤」をつくるの? ―6月10日の中医協総会

■「一気に5倍の用量を飲んで安全か」―渡辺委員(日歯)
 

[渡辺三雄委員(日本歯科医師会常務理事)]
 12ページの タリビット(クラビット錠)で、ちょっと質問したい。この薬(タリビット錠)は歯科でも適応があって私たちも使っている。

「クラビット錠」.jpg 先程、ご説明あったように従来は100mgを3回という形(で服用)。これが、一気に5倍の用量を使うことになるが、現場としては戸惑いを感じる。その点で安全性とか、(成分を徐々に放出する)徐放、体内への吸収などをお聞きしたい。 

 また、従来の100mg錠の生産が止まってなくなるのかどうか。

 それに伴って、今ある100mg錠について、これに類したような使い方が可能なのかどうか。

 以上、3点をお願いしたい。

[遠藤会長]
 事務局、お願いします。

[磯部薬剤管理官]
 今、3つの質問を頂いた。

 最初の質問は、「1回で500mgも飲んで大丈夫か」ということ。これは、承認審査の段階でも一番大きな問題。

 この薬剤は、「耐性菌発現を抑制する」という意味で、血中濃度を一気に上げる。「MPC」(抗菌薬の血中濃度でMICより高い濃度)と呼ぶが、耐性菌が出ない濃度まで上げていくことが公知的によく知られている。しかし、「結果的にいろいろな副作用の発生につながらないか」ということが一番問題になる。

 本剤の場合、日本と中国で合わせて1500例の500mg投与の試験をしており、有効性、安全性について遜色がないという結果を受けて承認した。基本的に臨床試験の結果からは、そのようなこと(重い副作用など)がうかがえないということ。

 ただ、非常に多くの方に使われている薬。基本的には耐性菌の問題なので、(後発品に)切り替えていくというのがメーカーの考え方だと思うが、1年程度かけて切り替えていくということで、医療現場の先生方に説明しながら徐々にやっていくということだと思う。

 そういう意味で、もともとこれは血中濃度を一気に上げて耐性菌発現を抑制するということから、徐放等の考えはないと理解している。

 それから今回、(新規収載される「クラビット錠」として)挙がっているのは、▽クラビット錠250mg ▽クラビット錠500mg ▽クラビット細粒10%―だが、これら3製品のみ、(耐性菌発現を抑制する)新しい用法・用量で認められているので、切り替えをしていくことも含め、既存のものについては、この用量で認めていない。

 そういう意味で、(後発品への)切り替えということを考えている。私どもの考えは、既存のものを500mgで使った場合については、この500mgの方の保険償還の対象にならないと理解している。

[遠藤会長]
 渡辺委員、よろしいだろうか。では藤原委員、どうぞ。

[藤原淳委員(日本医師会常任理事)]
 「クラビット錠」は耐性菌発生の阻止ということだが、「クラビット」の前身は「タリビット」。これらは、それぞれ交差耐性を示すと考えられている。「タリビット」が発売されたのは1982年と聞いている。

 今でも現場では「肺炎球菌にも有効」だと、パンフレットにもしっかり書いてある。「今さら、いかがなものかな」という感じがする。

 実際に、「クラビット錠」というのは、尿路感染などで非常に長期にわたって使われている。「長期に使っている」ということが、耐性菌を起こしているということが1つある。

 それからこれ、既に後発品が出てきている。後発品は従来通りで、これをそのままにしておいて、この500mgだと、これで耐性菌が出ないんだということって、どういう......、いかがなものかなという感じがする。

 もし、そういったことできちんと対応していくなら、長期投与とか後発品の問題を解決するのが先ではないかと思う。

 それから、副作用のチェックの中で、「中国人の治験データ」とおっしゃった。

 このことについては、これまで、われわれの認識では、「治験は国内でやる」と思っていたが、外国人を対象にして治験をするということは、これまであったのか?

 それは、本当に......、人種は一緒......なのかはよく分からないが、それで本当にいいのかどうか。そういうことをきちっと吟味されているのかをお聞きしたい。

[遠藤会長]
 分かりました。2つの質問。

 1つは、耐性菌が出てくるのは長期投与などの問題もあるので、用量を増やして一気に血中濃度を高めれば減るということだけではないでしょうと。それについてどう考えるかということ。

 もう1つは副作用。先程の説明によると、中国人を対象に治験が行われたデータ。しかし、治験はそれぞれの国で行うというのが基本ルール。モノによっては、(異なる人種間で効能の違いを調べる)「ブリッジング・スタディー」というのがあるが、基本的にはそれぞれの国でやるということなので、そういう視点から見るといかがなのか、過去に例があったのかというご指摘だと思う。

 2つお願いします。薬剤管理官、どうぞ。

[磯部薬剤管理官]
 長期間、このような抗菌剤を使っていくことをどう考えるかという点について。

 実際、どのように使っているのかを必ずしも理解している訳ではないが、それなりの医学的理由があってやっているケースがあるんだろうと思う。

 抗菌剤について、耐性菌の発現を防止していくという観点から、どのような使い方が適切かということは、関係学会の先生方ともいろいろ話をしながら、「何日以上は駄目」とするよりも、関係学会の先生方の意見を聴いて、どのような使い方がよりいいのかということを少し考えていく必要がある問題だと思う。

 後発品については、確かに(藤原)先生がおっしゃる通り。現時点では、「クラビット錠」の特許が切れて後発品が出たが、現時点では、うまく切り替えられるかはこれからだが、現状の用法・用量が残っている中では、私ども、先生がおっしゃることは分かるが、後発品を薬価収載しないという調整はなかなか難しいということもご理解いただきたい。

 それから中国での治験データについて。これは、海外の臨床試験データを日本の承認審査で使っていくかという問題。

 国際共同治験のほか、外国データを日本の医療環境で使えるのかという「ブリッジングスタディー」で多くの数の薬が認められている。

 ただ、本格的に中国での臨床試験データを用いて、今回ぐらいの規模で認められたケースは......、なかなか、すぐには調べられないが、「初めてに近いのではないかな」と思っている。

 ただ、中国での臨床試験を実施するに当たっては、日本の関係学会の先生方も中国に足を運び、GCPという臨床試験の基準など、学会の先生方にもご協力を頂いて、メーカーと両方でやった。

 それらをきちんとできたと審査当局で確認できたので、そのデータを評価資料として今回の承認に至ったと理解している。

[遠藤会長]
 ありがとうございます。藤原委員、どうぞ。


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