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なぜ、「配合剤」をつくるの? ―6月10日の中医協総会

■ 「いつから配合剤が出て、何例あるのか」―勝村委員(連合)
 

[勝村久司委員(連合「患者本位の医療を確立する連絡会」委員)]
 質問だけ。まず3ページ(販売名=クロザリル錠)について。

有用性加算(Ⅱ)
治療抵抗性統合失調症の治療選択肢が既存抗精神病薬の併用等に限定されている状況で、最終選択肢としての本剤の意義は大きく、治療方法の改善が認められる。ただし、無顆粒球症等の重篤な副作用のリスクがあることを考慮し、限定的な評価とした。
 「重篤な副作用のリスクがあるから、限定的な評価をした」ということで、初年度(の市場規模予測)が141人(0.2億円)ということ。

 こういう(薬が)承認されるときには、患者や家族など、限られた人たちとの話があると思うが、こういう薬価算定の際にも、その人たちなりの切実ないろいろな経験なり思いなりがあっての動きが......、その辺り、きちんと、関係団体との話をする手続きというか、また、こういう値段だから、こうなんだ、あーなんだということが前にあったと思うので、限られた人たちだけのスタートであるだけに、その辺りをどういう......。

 次は、5ページ(販売名=ストラテラカプセル)について。

【効能・効果】
小児期における注意欠陥/多動性障害 (AD/HD)
【有用性加算(Ⅱ)】
AD/HDの効能効果を有するのは本剤と比較薬だけであり、比較薬では禁忌とされている過度の不安、緊張などの併存障害を有する患児に対しても使用可能である点で「治療方法の改善」が認められる。
ただし、国内臨床試験症例数が少ないため、市販後も併存障害を有する症例に対する有効性と安全性について引き続き検討が必要とされることから、限定的な評価とした。
 「国内臨床試験症例数が少ないため、......引き続き検討が必要とされることから、限定的な評価とした」とある。

 例えば、「確認してから評価する」ということは、素人的に......、できないものかと思うが、これが2つ目の質問。

 もう1つは、配合剤について薬価専門部会で議論していくということだが、これまで、いつごろから配合剤が出始めて、大体何例ぐらいあるのか教えていただきたい。

 それから(クラビット錠について)今回、用量を上げることで耐性菌を抑制するということだが、こういうパターンでされるのは初めて? 初めてだと思うが、配合剤と耐性菌のやつは、大体何例ぐらいあるのか。こういうパターンで薬価が新たに認定されるのはどれぐらいなのか。

[遠藤会長]
 はい、了解いたしました。4つの質問だが、それではまず、加藤委員長。

[薬価算定組織・加藤委員長]
加藤委員長.jpg 「クロザリル錠」について。

 この疾患が治療の選択肢が限られたものしかないので、この薬がかなり有効だということで、有用性加算をたっぷり付けてあげたいところだったのだが、厳しい副作用があるということから、満額の有用性加算ではなく、絞った形で20%になった。 

[磯部薬剤管理官]
 最初の質問、「患者の声」について。

 新薬の薬価算定においては、承認後60日以内に処理するのが標準的な期間なので、その短時間ではなかなか、「事務局的にはしんどいな」というのが正直なところ。

 当然、薬価を付ける前に開発の段階があり、承認審査の段階があり、承認審査の段階でも1年ぐらいあって、そういう薬が申請されているということは、患者の会は当然、ご承知だと思うので、承認審査の段階でいろいろな意見があれば届けられて、審査当局でもそういった意見を、特に今はいろいろな場面で患者の意見を聴く場面をつくっているので、かなり(意見を)聴いているのではないかと理解している。

 2番目の「AD/HD」は質問がよく理解できなかったので、ちょっと教えていただければ。

[勝村委員]
 すみません、「市販後も併存障害を有する症例に対する有効性と安全性について引き続き検討が必要とされることから、限定的な評価とした」と書いてある。

 ということは、そういうことが引き続き検討されて、クリアーにされてから、有用性の加算を付けるということはできないのかという質問。

[磯部薬剤管理官]
 今のご質問について、確かにそういう考え方もあろうかと思う。

 ただ、少なくとも承認審査の段階で、明確に、外国のデータも含めて並存障害のある方に、特に使える薬と、それに効果があって、現在使える(小児用AD/HD治療薬の)「コンサータ」では、なかなかそこが難しいのだが、本剤(ストラテラカプセル)が使えるということは、そういう意味では、明確に認められたものであるというのは事実。

 それが、そもそも明確に認められていなければ、当然それは加算の対象にならない。

 ただ、ここで言っている市販後調査の話というのは、どうしてもこの手の話は、外国データが多くて、国内の臨床試験がある程度のところまでしか取れないので、その中で実際にもっと例数を上げたときにどうかということを......、基本的には、当然、こういう風に効くということは分かってはいるが、いろいろなことがあり得るかもしれないので、市販後調査できちっとフォローしていくことが要件に付いているということ。

 従って、われわれも承認審査の段階で明確に並存障害の方に対するものは、はっきりしないという判断があれば、それは私どもとして加算の対象にならない。

 それは、承認審査の段階で少数例ながらも外国のデータと合わせて、「そこは明確になった」という評価があったものだから、私どもとしては、その判断に至ったということ。

 ですから、そこのところが、どうしても市販後のデータを見なければ審査の方でも駄目だということになれば、私どもも、そういった判断になると思っている。

薬剤管理官.jpg それから配合剤については、「ARB」というか、高血圧の薬と利尿剤を組み合わせたものでは、同じタイプのものでは4剤目。

 例えば、HIVや更年期障害の薬など、いろいろな分野で配合剤はこれまで中医協の場で報告している。それは、利便性の問題であったり、副作用の軽減の問題であったり、いろいろな問題があって、配合剤は数多く出ていて、それが何製品目のものかもちょっと分からないぐらいある。

 ただ、ここのところ問題になっているのは、特に2号(診療)側委員からご指摘を受けている、このような同じ降圧剤同士で、「単剤が両方使えるのに、なぜあえて配合剤にする必要があるのかと」いう指摘を受けていると理解しているし、そういった薬価の値付けをどうするのかという指摘を受けているもの。

 そういった意味では、配合剤とひとくくりで言ってもいろいろなタイプあるので、この場で何製品目ということは言えない。

 ただ、非常に問題になってきたのは、この前(3月18日の薬価専門部会)の「ARB」と利尿剤のものから。「どれだけ配合意義があるのか」というご指摘を受けたのは前回からと理解している。

 それから耐性菌の問題で申し上げると、このような大規模な臨床試験をやっているものは、たぶん初めてではないかと思うが、ちょっと詳細は手元に(資料が)ないのでお答えしにくいので、はっきりしたことは答えられない。

 ただ、これまでもいろいろな外国のデータで、1日2回投与のものを1日1回にするとか、外国データで認めたもの、これは新薬としての扱いにならないものがいくつもあるが、そういったもので用法・用量を切り替えていくところがいくつかあると認識している。

[遠藤会長]
 はい、ありがとうございます。

 勝村委員、手短にお願いします。

[勝村委員]
 5ページ、「市販後も併存障害を有する症例に対する有効性と安全性について引き続き検討が必要とされることから、限定的な評価とした」について。

 「引き続き検討」がされて、その結果が出てきてから評価が変わり得ることはあるのか、ちょっと気になる。つまり、「引き続き検討」がされた結果、どんな結果が出ようとも、(有用性加算)10%のままでずっと行ってしまうということなのか。

 それならば、例えば最初は0%にしておいて、「有効性と安全性について引き続き検討」して、評価が確立されたら、例えば20%を付けるということを書いておくとか、そういうやり方はできないのか?

[磯部薬剤管理官]
 現状のルールでは、市販後のデータで段階的に引き上げていくということはなかなか難いのではないかと思っている。

 このような特殊な疾患の場合、どうしても承認審査の段階でも、国内の臨床試験数がかなり大規模で取りにくいので、

 このような指示事項が付いて、引き続きのフォローアップが必要とされるケースがあって、今の勝村委員の指摘のようにフルにやろうとすると、ほとんどのものが、こういった加算ができないということがある。

 それがまた、十分な、こういった薬の評価になるのかということにも、あろうかと思うので、ま、あの......、なかなか、あの......、今のお話をそのまま実現するのは......、今のルール上はちょっと難しいかなと思っている。

[遠藤会長]
 ありがとうございます。現行のルールでは難しいということ。

 山本委員、どうぞ。

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