文字の大きさ

ニュース〜医療の今がわかる

村重直子の眼15 長尾和宏・長尾クリニック院長(4)


村重
「他の分野の方たち、つまり資本主義経済が当然の方たちとお話をする時に、噛み合わないなと思うのは、そこなんですよ。つまり値段を決められるのが当たり前だと思っていて、どんなに頑張ってもお金の面で報われることはないというのが前提の世界と、とにかく頑張ってお客さん、直接お金を払う人にとっての価値を生み出して、その人がお金を払うという判断をするような世界と。他の分野では、別に値段が高かろうが安かろうが、お金を出してくれる人の判断によって決まるんですけど、医療はそうじゃないので。それこそ中医協とか医療経済とかで経済関係のお話をされると思うんですけど、何か噛み合わないなと思うのは、こういう価格統制の世界で生きたことがない人には感覚として分からないのかなと、それは逆に私たちも市場の原理で動く人たちの感覚は分からないのかもしれないですけれど、そこをもうちょっと何とかしないと」

長尾
「そんなら先生は今、神戸が医療特区のことで大騒ぎになっていることは知ってはります? ポートアイランドに医療特区を作って、医療ツーリズム、中国やアラブの金持ちが来ると、で大阪でも一部そういう動きがある、まあとにかく特区、医療ツーリズム第一号が神戸になるということで、今ちょうど黒船がやってきて大騒ぎになってるんですけど、知ってます? もうすごいんですよ。知らない? 知らない? はぁ、やっぱりローカルなんか。僕は大きなニュースなんかと思ってたけど。兵庫県医師会は絶対に許したらいかんと言っているわけです。何でかいうとやっぱり国民皆保険を守るためやと。特区が入ってくると金持ちの医療になると。日本の優れた医療を外国の人に開放するかという議論は昔からありますね。まあ推進論者としては、どんどんお金を落としてもらって、何百億円か何千億円かまた日本人に還元したらいいという。

ところが反対する人はやはりそういうのは金持ちだけ受けれるとか、日本の医者もそこにええのが集まって、ただでさえ医者が偏在しているのに、よけい偏在が進むと。腕のよい医者をゴッツイ好待遇で集められてしまって、医療崩壊に拍車をかける、その第一号が神戸市になりそうやというので、兵庫県医師会が強く反対していますね。一方では、日本の医療レベルは高いから世界に貢献するのは悪くないという意見も根強く、大変、難しい問題だと感じます」

村重
「そこの感覚がだいぶ違うなと思っていて、まず国が介入すること自体おかしい。やりたい人がやるのは構わないと思うんですよ。やりたい人がやって、失敗するかもしれない成功するかもしれない」

長尾
「市場原理主義やね」

村重
「いや、でも値段は決まった中でしかできないですよね」

長尾
「そこを自由診療にしようという意見が強いんですよ」

  • MRICメールマガジンby医療ガバナンス学会
サイト内検索
loading ...
月別インデックス