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ニュース〜医療の今がわかる

なぜ愛育病院は「総合周産期母子医療センター」返上を申し出たか(上)

 「愛育は産科と小児科しかないから、補助金が要らないなんて思い切ったことが言える」との声も産科医の間から聞こえる。「総合病院では、補助金をアテにして予算が組まれている。他科にも影響が出ることになって、簡単に返上なんてできない。本当に厳しいのは日赤だ」

 日赤医療センターは、東京都の「スーパー総合周産期センター」になって年間5千万円ほどの補助金が約束されている。同センターの産科医は24人。ただ、これには当直を経験したことがない初期研修医も含まれており、同センター関係者は「3人当直なのに、当直できるのは18人ぐらいしかいない。今年度中には3人が退職し、転科する医師もいる。代わりの医師も来るが、当直ができない医師もいるため、実質的に戦力は落ちる」と内情を明かす。加えて、同センターは新生児科にも医師の欠員が1人出ており、現在もホームページ上に募集案内が出ている。「労働基準法を遵守するような体制を保っていられるとは、とても思えない」。同センターに勤務する医師たちには、補助金や是正勧告が自分たちの労働環境改善にはつながらないことに、動揺とあきらめとが入り混じる。

 現在までのところ、日赤医療センターは「大人の解決」を選び、愛育病院も予定調和の世界に戻って事態は沈静化したように見える。しかし今回の問題はこれでは終わらない、本番はこれからだ、との指摘がある。今まで医療界が所与の条件と捉えてきた厚労行政の在り方に大きな地殻変動が生じており、これまでの常識が通用しなくなるというのだ。

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