救急搬送件数が年々増加する中、国が描く新しい119番通報システムの大枠が少しずつ見え始めた。総務省消防庁は119番通報時のトリアージ(重症度・緊急度による患者の選別)実施後の救急隊の運用や病院選定などに関して、実際に消防本部で実施して検証する方針を決めた。国が検討を進めているトリアージの運用ルールが具体化しつつある。(熊田梨恵)
総務省消防庁は8月6日、今年度に行う救急搬送の実態調査で、救急の搬送と受け入れのマッチングを一部地域で実施する方針を決めた。救急隊が疑った疾患と実際の診断名、選んだ搬送先が適切だったかなどを検証し、救急搬送と受け入れ業務の質の向上を図ることが目的。今後、各都道府県が実施する救急搬送の検証作業のモデルとなりそうだ。(熊田梨恵)
全国医師連盟(全医連、黒川衛代表)は8月6日、30日に投開票される衆院選に向け、各政党の医療政策を問う公開質問状を送付した。医療費や医師の労働環境、アクセス制限、医療事故調査委員会などに関する回答を求めており、17日には全医連のホームページ上で結果を公表する。(熊田梨恵)
「『特定』を除外された患者さんの病態を見てみますと、医療療養と非常によくに通っている。しかし出来高なので、検査とかレントゲン、CTはたくさんとっている」-。厚労省が中医協の「慢性期入院医療の包括評価調査分科会」(分科会長=池上直己・慶大教授)に示した一般病床の実態調査の内容について、武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)は、同じ状態の慢性期患者であっても病床の種別で診療報酬が異なることについて「不公平ではないか」と述べた。(熊田梨恵)
インフルエンザ感染などの際に肺炎合併を起こして重篤化する危険性を下げてくれるとして高齢者に接種が推奨されている23価肺炎球菌ワクチン(ロハス・メディカル誌08年4月号参照)について、現在は禁忌となっている2回接種が近い将来に認められることになりそうだ。厚生労働省のインフルエンザワクチン需要検討会委員長も務める神谷齊・国立病院機構三重病院名誉院長が5日、都内で開かれた小児用ワクチンに関するプレスセミナーで見通しを明らかにした。(川口恭)
厚労省が中医協の「診療報酬調査専門組織・慢性期入院医療の包括評価調査分科会」(分科会長=池上直己・慶応義塾大医学部教授)に示した、医療療養病床の患者分類ごとの収支差によると、医療区分3ではADL区分の1と3の間に、一日当たり約5000円の差があった。診療報酬自体はADL区分によって変わらないことから、池上分科会長は「費用の面では差があるが、報酬としては同じになっているのは大きな課題」との見方を示した。(熊田梨恵)
医療機関のコスト調査について、中医協・基本問題小委員会の診療側委員からは疑問点や質問が出されたが、支払側委員は前回調査よりも好意的に受け入れた。コスト調査が医療費抑制ツールの1つになるからだろう。(新井裕充)
厚生労働省の社会医療診療行為別調査(07年6月審査分)によると、90日以上入院している75歳以上の後期高齢者の患者約37000人のレセプトのうち、約3万6000件が「後期高齢者特定入院基本料」の算定から除外されており、一般病棟入院基本料を算定していた。(熊田梨恵)
助産所での分娩を希望する妊婦がいる一方で、医師がいない助産所での分娩は一定のリスクを抱えることにもなる。都のスーパー総合周産期センターでの受け入れが必要になったケースでも、助産所からの搬送があった。(熊田梨恵)
救命処置が必要な妊婦を24時間体制で必ず受け入れる「スーパー総合周産期センター」のシステムが東京都で開始してからの約4か月で、スーパー総合の受け入れに該当する重症の妊婦の搬送ケースは9件あった。このうち8件は近隣のセンターが受け入れることができており、他のセンターでの受け入れが不可能なために"最後の砦"としてスーパー総合が受け入れたのは1件のみ。関係者からは、スーパー総合があることによる安心感などが他の医療機関に影響し、他のセンターの受け入れがうまくいっているとの声が上がっている。(熊田梨恵)
消防庁が昨年度に実施した救急搬送に関する全国調査によると、救急隊から医療機関に4回以上受け入れ照会を行っていたケースについて、周産期の搬送は重症や小児の場合と比べて、現場に30分以上滞在しているケースが多い傾向があった。(熊田梨恵)