:2009年10月の記事一覧
副作用の発生がゼロになることはない。これは医療側からすれば当たり前のことだが、日本ではこれまで、避けることのできない被害に対する無過失補償制度が構築されてこなかったために、一部からの責任追及を恐れて、全体が享受できるはずの利益を損なうということが起こっている。乳幼児に発症して重度の後遺症となりやすい「細菌性髄膜炎」を防ぐためのワクチンの定期接種化が実現しないこともその一例だ。政権が交代し、医療の無過失補償や免責に関する制度は、今後進んでいくのだろうか。(熊田梨恵)
最先端研究開発支援プログラム執行の凍結を解除する方針を決めた22日の総合科学技術政策担当大臣(菅直人氏)と総合科学技術会議有識者議員の定期会合の議事要旨が30日、内閣府のサイトで公開された。選考過程の不透明さが指摘されていた「支援会議」や「ワーキングチーム」を棚上げしようとする津村啓介政務官に対して、榊原定征・東レ社長が激しく抵抗した形跡が残っている。榊原社長はワーキングチームの一員であり、そして東レ顧問の研究が採択30件の中に含まれている。(川口恭)
「ヒブワクチン」や「肺炎球菌ワクチン」という言葉を聞いたことがあるだろうか。5歳未満の子どもが発症し、発達障害など重度の後遺症を残しやすい「細菌性髄膜炎」の予防に有効とされ、海外ではWHOの勧告を受けて定期接種化が進んでいるワクチンだ。「ワクチン後進国」とも言われる日本では定期接種化されておらず、患者会などが要望を続けている。どんな病気で、現状はどうなっているのだろうか。(熊田梨恵)
厚生労働省の『薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会』第17回会合が29日開かれた。医薬品行政を検証するとの旗印を掲げて開始されてから1年半、終結まで半年のこの時期になってようやく、審査や安全対策を行なっているPMDA(医薬品医療機器総合機構)職員の生の声を知りたい、と匿名アンケートが行なわれることになった。(川口恭)
コメディカル代表として中医協の専門委員に内定した日本放射技師会の北村善明会長がチーム医療の推進に意欲を見せている。「実際の現場ではチーム医療ではなく医療チームになっている。医師以外の職種がどれだけモノが言えるか、発言できているか」と指摘、医師を含めた「メディカルスタッフ」という言葉を提言している。(新井裕充)
仙谷由人・行政刷新担当相は28日、「がん対策基本法をつくったけれど、事務局の厚生省のやり方が自治体に丸投げに近くて、国民の実感として医療環境がよくなっていない。議論を自治体の中で巻き起こしていただかないと前へ進まないのでないか。都道府県が本気になった時、もう1回矛盾が出てくるだろうが、その問題提起が自治体側からされれば、国としても解決できるのでないか」と、がん医療に対して地域レベルで考えることを呼びかけた。(川口恭)
文部科学省の鈴木寛副大臣は28日、プロジェクト採択の正当性などをめぐり問題となった最先端研究開発支援プログラムを教訓に、国内で研究職を志す人がキャリアデザインを描けるような体制を再構築する必要があると主張した。(熊田梨恵)
文部科学省の鈴木寛副大臣は28日、来年度予算の概算要求に絡み、「結局財務省が認めるかどうかだが、ぜひお願いしたいのは、新政権は誰ともしがらみがない。したがって現場の声、世論が本当に重要。有権者の皆さんが真に何を望んでいるかという事のご意向に、ものすごく左右されると思う」と述べ、医療現場から新政権に対して声を上げてほしいと求めた。(熊田梨恵)
文部科学省の鈴木寛副大臣は28日、同省の来年度予算概算要求で医療に関する分野について、「大事なことは教員をはじめ、教育体制を整えていくという事。その観点で予算要求をした」と述べ、特に医学部の教官の増員などへの重点配分を考えているとした。(熊田梨恵)
仙谷由人行政刷新担当大臣は28日、独立行政法人化されることが決まっているナショナルセンターや社会保険病院・厚生年金病院の経営について「日本の医療の世界を覆う大変な権威とパワーというものが、その延長線上で現在の日本の医療を再建できるとは限らない。いったん白紙に返して、今の事態を憂慮する専門家の方々と、そのことを理解するガバナンス・マネジメントの分かる方々の共同作業で新たなモデルから」と延べ、ゼロベースで検討する必要があるとの考えを明らかにした。(川口恭)
患者家族や医療者などでつくる「細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会」(田中美紀代表)は27日、長浜博行厚生労働副大臣に対し、ヒブワクチンと小児用肺炎球菌7価ワクチンの定期接種化などを求める要望書を提出した。早期の予防接種法改正を求めるため、一般から集めた約4万7000筆の署名も近日に衆院と参院の両議長へ提出する予定だ。(熊田梨恵)
25日に開かれた医療構想・千葉のシンポジウム。今度ご紹介するのは、少し時間を遡って新型インフルエンザなどワクチン問題を取り扱った第一部の後のディスカッションだ。(川口恭)
25日に開かれた医療構想・千葉のシンポジウムで第一部のシンポジストとして登壇した薗部友良・日本赤十字社医療センター小児科顧問が、大変に力のこもった論文を配っていた。発表内容ともシンクロする部分が多く、以後の報告も分かりやすくなると思うので、許可を得て全文ここに転載させていただく。(川口恭)
「5人のお医者様すべてが日本医師会の会員」「安達先生は(日本)医師会の診療報酬検討委員会の委員長で診療報酬に関しては権威」─。日医執行部を外す中医協人事を発表した10月26日の会見で、長妻昭厚労相は"日医外し"の人事ではないことを強調した。長妻厚労相の質疑応答は以下の通り。(新井裕充)
25日、6月に発足した医療構想・千葉の第二回シンポジウム『医療崩壊から再生へ 患者の視点で考える』が浦安市の了徳寺大学で開かれた。非常に密度の濃い講演とディスカッションが予定を大幅に超えて約3時間繰り広げられた。講演内容などは、彼ら自身が報告するものとの兼ね合いを見ながら機会を見て記すとして、まずはディスカッションの模様をご紹介する。(川口恭)
日本産婦人科医会(寺尾俊彦会長)が公表した、助産師の数に関するデータが興味深かったので紹介したい。養成校からは毎年約1300人の助産師が卒業して医療機関などに就職しているが、全体で働いている助産師の数自体は平均で前年比約300人程度しか増えていない。定年で辞めていく人もいるとみられるが、同会の神谷直樹常務理事は多くが"潜在助産師"になっているとして「家庭に入っているのではないか」との見方を示している。(熊田梨恵)
政府のインフルエンザ対策広報ビデオが関係者の間で話題を呼んでいる。それだけ見ると非常に分かりやすくよくできているのだが、あまりにも英国政府作成のものに似ているからだ。(川口恭)
「医療崩壊とか救急・産科の(受け入れ困難)問題とかで多くの人が『医療に問題がある』と認識している。これは裏返せば、(医療)基本法成立へのエネルギーになる」─。医師の計画配置や患者の義務などを盛り込んだ「医療基本法」の成立を目指すシンポジウムで、長妻昭厚生労働相の政策ブレーンとされる埴岡健一氏(日本医療政策機構理事)が声高らかに語った。(新井裕充)
「プレーンの状態であれば通らない話であっても、いったん公表したものを覆すだけの盛り上がりに欠けた。若手研究者をディスカレッジしてしまったことは間違いないので、これを大いなる教訓にして、科学的に先端研究を支えていく仕組みを構築していきたい」。鈴木寛・文部科学副大臣は、いち早く疑問を表明していた最先端研究開発支援プログラムの選考やり直しに至らなかったことに無念さをにじませつつ、今後を見据えて必要な取り組みを列挙した。(川口恭)
選考の不透明さなどから執行が一時凍結されていた最先端研究開発支援プログラムは、金額などは見直すものの、採択した30件を変更せず進むことになった。22日、科学技術政策担当大臣(菅直人氏)と総合科学技術会議有識者議員の定期会合が開かれ、その場で1000億円を採択済みの30課題に当てる方針が了承された。今後、持ち回りの総合科学技術会議で決定される。(川口恭)
がんについてのよろず相談が受けられるお医者さんというイメージ―。「がん治療認定医」という言葉を聞いたことがあるだろうか。がんは日本人の死因のトップであるにもかかわらず、専門が細分化され過ぎているために医師によって勧める治療法もバラバラで、インターネットや雑誌に溢れる情報も信頼できるかどうかが一般からは分かりにくいなど、がん医療をめぐる問題は多い。こうした中、どこに行って何を聞けばよいのか分からない患者のための相談窓口をつくるために生まれたのが「がん治療認定医」だが、まだまだ国民に知られていない制度だ。(熊田梨恵)
13日のがんセンター講演会、最後に再現するのが、当日は冒頭に行われた木村盛世・検疫官の講演。木村氏のブログを愛読している方にとっては目新しいものはないかもしれない。でも面白い。(川口恭)
東京都が8月31日に開始した、搬送先の決まらない妊婦や新生児の受け入れ先を探す助産師による「搬送コーディネーター」は、119番通報を受ける消防機関「東京消防庁」に設置されているという点で、大阪府や札幌市など他の自治体で行われているコーディネーター制度と違う独自性がある。12日までに47件のコーディネート実績があったが、このうち20件は医療機関からの搬送依頼ではなく、「119番通報」からコーディネーターにつながったケースだった。東京都の搬送コーディネートシステムはどんな特徴があるのだろうか。(熊田梨恵)
日本医療政策機構の理事を務める埴岡健一氏らが推進する「医療基本法」について、読売新聞医療情報部長の田中秀一氏は、「医療は医師や患者の勝手になるものではなくて、公共財という視点で考える必要がある」などと力説している。「医療基本法」は、医師や患者に義務を課す強権的な法律なのだろうか。(新井裕充)
19日晩に急遽開催された新型インフルエンザワクチン接種に関する緊急ヒヤリングは、大変に白熱して面白かった。しかし終了後の記者たちの顔を見ていると、金曜日の専門家会議について旧来型取材の常識に則って記事を書き、結果的に"誤報"とされて面白くなかったらしい。無理に要約しようとするから間違えるので、当方はあんまり要約しない。(川口恭)
新型インフルエンザワクチンの接種に関して16日の専門家会議で突如1回打ちの方針が合意された問題で、当日激怒したと伝えられる足立信也政務官が今晩、専門家5人を招いての緊急ヒヤリングを開催する。(川口恭)
日本産科婦人科学会は16日に開いた常務理事会で、10月からの導入の際に大騒ぎになった直接払いを廃止するなど、出産育児一時金制度の抜本的改革を求める要望書を、長妻昭厚生労働大臣あてに提出することを決めた。(川口恭)
17日に開かれた世田谷区医師会内科医会の講演会の模様を簡単にご紹介する。(川口恭)
vol.50(09年11月号)の記載に誤りがありました。編集部の作業ミスです。謹んで訂正すると共に、筆者の加藤大基先生にお詫び申し上げます。
P27、地図の下、最初の行の埴谷雄高氏の読み仮名
(誤)はにわや・ゆたか
(正)はにや・ゆたか
新型インフルエンザに関する厚生労働省の専門家会議で16日唐突に「13歳以上のワクチン接種は1回でよい」との合意がなされたことに対して、17日世田谷区医師会内科医会が開いた講演会の中で「専門家ならしない非科学的な判断を、専門家を名乗る素人が行なっている。それを御用メディアが垂れ流し、皆で拝んでいる。この国は危険だ」と激しく批判する声が上がった。(川口恭)
総務省消防庁と厚生労働省は16日、「傷病者の搬送及び受け入れの実施基準等に関する検討会」(座長=山本保博・東京臨海病院院長)を開催し、改正消防法が施行する30日までに都道府県宛に通知する救急患者の受け入れ・搬送ルールのガイドライン案を大筋で取りまとめた。ルール策定に関する議論の場が、国から都道府県に移ろうとしている。(熊田梨恵)
ロハス・メディカル誌連載中の『患者自ら立つ』で毎月1ポイントアドバイスを述べている近藤房恵・米サミュエルメリット大学准教授がこのほど一時帰国し、15日に東大病院で行なわれた『接遇向上セミナー』の講師を務めた。
7月に国立がんセンター中央病院の職場見学に訪れた大妻中野高校の7人がほぼ3ヵ月後の15日、その感想を話し合った。有賀康修校長が土屋了介院長から「今後も継続して来てほしいので、改善点があれば教えて」と依頼されたのを受けた。(川口恭)
厚生労働省の足立信也政務官は16日、2010年度診療報酬改定から導入するとしている改定の基本方針や改定率の大枠を決める「検討チーム」について、与党議員を含む「あらゆるステークホルダー」10人未満での構成になるとの見解を示した。検討チームの協議内容について、「どこまで政治主導でやるか、検討チームで決めてもらいたい」と述べた。(熊田梨恵)
日本産婦人科医会の寺尾俊彦会長(浜松医科大学長)は14日に開いた記者懇談会で、助産師不足を解消するために現在の実習で「10例程度」必要とされているお産件数を半減することなどを提案した。「残る5人を卒後にしてはどうか」と述べ、助産師の卒後研修の必修化を求めた。(熊田梨恵)
医療経済フォーラム・ジャパンが10月10日に開催した公開シンポジウム「診療報酬改定の方向性」で、中央社会保険医療協議会(中医協)の遠藤久夫会長が「わが国の医療費の水準と診療報酬」と題して基調講演した。前半は医療費抑制策に対する評価、後半は医療費の配分の在り方や次期改定の主要課題について述べた。講演の模様を2回に分けてお伝えする。(新井裕充)
13日夜に国立がんセンター中央病院で開かれた『院長主催講演会●新型インフルエンザとがん患者―ワクチン問題を考える●』の模様をご報告する。木村盛世検疫官と高畑紀一・細菌性髄膜炎から子どもたちを守る会事務局長の2人が講演した後、鈴木寛・文部科学副大臣、足立信也・厚生労働大臣政務官、梅村聡参院議員(内科医)、土屋了介院長を加えた豪華な6人でのディスカッションとなった。まずは、そのディスカッションから。 (川口恭)
足立信也・厚生労働大臣政務官は13日、国立がんセンター中央病院で開かれたシンポジウムの席上で「(新型インフルエンザワクチン接種に関する)新法の中に、無過失補償と免責と予防接種法改正を検討するとの文言を加える、実施するまで入れられれば良かったが、検討するという項目を設けることが、この短い期間に私にできる全てだった」と述べた。(川口恭)
救急隊が出払っている場合などに消防隊が現場に向かって応急処置などの救急業務を行う「PA連携」を実施している消防本部のうち、36.7%が消防車にAED(自動体外式除細動器)を積んでいないことが消防庁の調べで分かった。救命活動をする際、手動で人工呼吸を行う時に必要なバッグバルブマスクも26.2%が、携行用の酸素吸入装置は66.9%が積載していなかった。(熊田梨恵)
厚生労働省の足立信也政務官は8日、「政府は鳩山さん、党は小沢さん(が主導)としたなら、『小沢さん、遅いんじゃないか。党が機能していないんじゃないか』と言いたい」と述べ、民主党内が機能不全に陥っているとの認識を示した。(熊田梨恵)
厚生労働省足立信也政務官は8日、鳩山政権が目指す「政府・与党の一元化」の現状について、「政府に入った三役に過度な負担になっている」との認識を示した。政策調査会や部門会議が廃止されたため、党の政策に関する質問が三役に集中し、対応し切れなくなっている現状があるとした。(熊田梨恵)
厚生労働省の足立信也政務官は8日、地域医療再生基金についての私見を示し、地域を限定して補助する方法では医師不足などの解決にはつながらないとして、「診療報酬か税金を投入して全体のベースアップを図ることがなければだめ」と述べた。(熊田梨恵)
厚生労働省の足立信也政務官は8日、今年度の補正予算の見直しに関する地域医療再生基金の執行について、現状では「まだ決まっていない」と述べた。(熊田梨恵)
総額2700億円を配分するとして前政権時代に配分対象者30人が公表されている「最先端研究開発支援プログラム」で、配分対象者の中に、審査員の夫が含まれていることが分かった。このプログラムについては、鈴木寛・文部科学副大臣が就任早々「選考過程が不透明」と見直す方針を明らかにしている。(川口恭)
末期がんや肝硬変などで難治性腹水症を起こした患者の、腹腔内に溜まった腹水を静脈経由で全身に戻す医療機器の『デンバーシャント』が、メーカーの事情により先月から欠品を起こしていることが分かった。全く同じように使える代替品は国内にないという。昨年末の骨髄フィルターに続き、またも医療機器に欠品騒動が発生したことになる。背景にある日本固有の高コスト構造を是正しない限り、今後も次々に欠品が生じるだろうと見る関係者もいる。(川口恭)
「何よりも都道府県職員と、一般市民が分かっていなければどうにもならない」-。都道府県が来月にも策定準備を始める救急患者の搬送・受け入れルール。ルールが機能するかどうかのカギは、都道府県の一般市民に対する周知や普及啓発であることが浮き彫りになってきたが、ルールの指針を検討している国の会議で具体的な議論のしようがないために抜け落ちているポイントでもある。果たして現場に降りた時にルールは機能できるのだろうか。(熊田梨恵)
舛添要一・前厚生労働大臣の側近として省内改革に取り組んできた村重直子課長補佐(前・大臣政策室政策官)が5日付で内閣府特命担当大臣(行政刷新担当)付に異動した。前大臣の省内改革を熟知している同氏により、行政刷新会議の厚生労働行政検証に新たなノウハウが加わることになる。(川口恭)
今年はじめ骨髄移植に必要なフィルターの供給が途絶しかねない状況が生じていた問題に絡み、わが国の2月の骨髄移植実績が対前年比78%と他の月に比べて明らかに少なかったことが、アメリカ造血細胞移植学会学会誌(Biology of Blood and Marrow Transplantation)に掲載された論文で明らかになった。代替品を超法規的に迅速承認したために供給途絶こそしなかったものの、「代替品に保険が利くのかなど必要な情報を、厚生労働省などが適切に発信しなかったため、現場では移植を見合わせざるを得なかったと考えられ、患者に不利益が出ていたと推論できる」と論文を投稿した研究者は分析している。(川口恭)
出産育児一時金騒動を振り返るシリーズの2回目。(1回目の記事はこちら)
「新政権に期待したいのは、良い意味で医療に人が雇えるように、新しい雇用の創出。これは社会福祉も介護もそうです。全部そうですね。保育所もそうですよ。そういう所で人が働ければ、世の中が変わってくる。今こそ発想の転換をして、こういうところで雇用をつくってくれないかな、こう思っているわけです」─。埼玉県済生会栗橋病院副院長で、NPO法人「医療制度研究会」の副理事長を務める本田宏氏は9月27日、京都府保険医協会(関浩理事長)が主催したシンポジウムで講演した。(新井裕充)
出産育児一時金に関して、開始直前にバタバタと見直しが行なわれた。なぜ、こんなことになってしまったのか。事の経緯を追っていくと、泥沼にはまっている医療事故調問題と共通する構造が見つかった。厚生労働省と医療界との馴れ合いの関係が時代にそぐわなくなってきていること、それなのに依然として医療界に自律の動きは鈍いことが、改めて浮き彫りになったとも言える。(川口恭)
総務省消防庁と厚生労働省は2日、「傷病者の搬送及び受け入れの実施基準等に関する検討会」(座長=山本保博・東京臨海病院院長)を開催し、都道府県に策定が義務付けられた救急搬送・受け入れルールについて、作業部会がまとめたルールの指針となるガイドライン案を報告した。搬送実績を毎年調査・分析してルールを見直すことや、搬送先となる医療機関を▽緊急性▽専門性▽特殊性-の三つで分類することなどが盛り込まれている。(熊田梨恵)
出産育児一時金の制度一部見直しに関して、足立信也・厚生労働政務官の説明は以下の通り。(川口恭)
民主党の梅村聡参院議員は1日、出産育児一時金の支払い方法変更に関する妊産婦へのメッセージとして、「妊婦さん側からしたら、窓口で払う、払わないだけの問題ではなく、中小の医療機関がやっていけるかどうかの瀬戸際の事です。長期的に見れば日本のお産全体を守る事になります」と述べた。産科医療機関の資金繰り問題の早期解消に努めるとして、「妊婦さんに未来のある改革をしていきたいと思っているので、そこはご安心ください」と語った。(熊田梨恵)
民主党の梅村聡参院議員は1日、出産育児一維持金の支払い方法変更に伴い産科開業医の資金繰り不安が表面化している問題について、医療機関への猶予を実施している間に「(一時金が医療機関に振り込まれるまでの)タイムラグをつくらない仕組みを作っていくことが必要」との認識を示し、振り込まれるまでの期間の短縮や受領委任制度の手続きの簡略化などが必要とした。(熊田梨恵)
出産育児一時金の支払い方法変更に伴い長妻昭厚生労働相が制度開始を一部医療機関に対して猶予する旨の発表を行うなど急な変更が起こっていることについて、民主党の梅村聡参院議員は1日、「(出産費用を)払ってもらえない事が多いのは大きい医療機関。この制度では小さい医療機関の資金繰りが苦しくなる。本来恩恵を預かるところと被害を受けるところが別だった」と述べ、今回の猶予は新制度と現場の実態の間にあるギャップから発生した、産科開業医の資金繰りの問題を解決するためのものと解説した。(熊田梨恵)
『薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会』は、これまで政治家では舛添要一・前厚生労働大臣が一人だけ目立つ場だった。しかし30日に開かれた第16回会合には、長妻昭大臣、山井和則政務官、足立信也政務官の3人が顔をそろえて、それぞれ自分の言葉で所信を述べた。また、かつて薬害肝炎原告団の代表として委員を務めた福田衣里子代議士も傍聴に現れ、政権交代をまざまざと印象づけた。(川口恭)