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ニュース〜医療の今がわかる:2009年8月の記事一覧

 民主党の鈴木寛参院議員(医療現場の危機打開と再建をめざす国会議員連盟幹事長)は8月31日、新型インフルエンザ対策では内閣府や厚生労働省、文部科学省などの関係省庁が連携して対応していく必要があるとして、「ある意味、閣僚委員会が立ち上がるかもしれない」との見解を述べた。(熊田梨恵)

 新型インフルエンザのワクチン接種に関して、厚生労働省はその方針案へのパブコメを実施する方針を固めた。専門家からは、国民の納得を得られるプロセスが必要だとの指摘が相次いでおり、その手順を踏んだものといえる。ただし、過去のパブコメでは、実施しただけで全く案に反映されないという事例も多かったことから、単なるアリバイづくりに終わらないか注視が必要だ。(川口恭)

 国内の企業と研究機関による先端医療機器開発を産業として活性化し医療工学水準を向上させることを目的に、それに向けた情報発信をしていく『日本の技術を、いのちのために。』プロジェクトが28日から始まった。この日、委員会が設立され、その記者会見が国立循環器病センターで開かれた。大阪主導、民間主導のものづくり復権の動きとしても注目される。(川口恭)

 沖縄県では、唯一の骨髄バンク認定施設で担当医が辞職したために今年4月から骨髄移植ができなくなっており再開のメドも立たないことから、この問題を広く県民に知ってもらう必要があると、「沖縄県骨髄バンクを支援する会」と「がんの子どもを守る会沖縄支部」が共同で今月から署名活動を始めた。(川口恭)

 20日のインフルエンザワクチンに関する意見交換会で厚生労働省の福島靖正・結核感染症課長が「肺炎球菌ワクチンの副作用が非常に強い」と発言したと一部メディアで報じられたことに対して、山形県保険医協会が26日付で舛添要一厚生労働大臣宛に「発言の真意を質す」との要望書を送付した。(川口恭)

influadviseryvactine.JPG 26日夕刻、厚生労働省で『新型インフルエンザワクチンに関する厚生労働大臣と有識者との意見交換会』が開かれた。特に何かが決まったということではないが、後で記すように舛添要一厚生労働大臣が趣旨として説明した「議論の内容を皆に伝える」ことに私も意義があると思うので、簡単に再現する。(川口恭)

 厚生労働省の2010年度予算の概算要求は、一般会計総額で09年度当初予算から1兆2565億円増えて26兆4133億円になることが分かった。新型インフルエンザ対策として、100万人分のプレパンデミックワクチンの製剤化や、ワクチン買い上げなどに207億円を計上。新規事業として、研修終了後に産科や救急を選択する医師に最大月額5万円の手当てを支給することや、「小児救命救急センター(仮称)」を8か所設置することなども上がっている。(熊田梨恵)

 総務省消防庁と厚生労働省は8月25日、「傷病者の搬送及び受け入れの実施基準等に関する検討会作業部会」(部会長=有賀徹・昭和大病院副院長)を開き、都道府県が策定する救急患者の搬送・受け入れルールについて、医療機関をリストアップする際の分類案を示した。脳卒中はt-PA(血栓溶解薬のアルテプラーゼ)を実施できるか、虚血性心疾患は心臓カテーテルを行えるかなど、患者の重症度や緊急度に応じて治療が可能な施設をリスト化することなどが提案された。(熊田梨恵)

 全国42の国立大学医学部首脳でつくる国立大学医学部長会議が常置委員会名で21日、自民、民主、公明の3党に要望書を出した。医師数増、国立大学医学部定員増、医学部教職員増、大学設置基準見直しと高等教育費増、大学病院の借入金解消などを要望している。(川口恭)

民主党の鈴木寛政調副会長は21日、現在選定の進んでいる「最先端研究開発支援プログラム」に関して、民主党が政権を取った場合はいったん凍結して選定をやり直す方針であると明らかにした。国立大学医学部長会議常置委員長の安田和則・北海道大学大学院医学研究科長との会談の中で「既に国会でウォーニングは出している」などと文部科学省担当者の事業進行を厳しく批判した。(川口恭)

ikakenwadakousyuukai.JPG 医療者と患者が一堂に会して互いのコミュニケーションについて学ぶ勉強会が17日、東京大学医科学研究所病院で開かれた。企画した外科の釣田義一郎講師は、「この病院は臨床試験をするのが使命。しかし、ともすれば『人体実験』と誤解を招くことにもなりかねないので、患者と医療者との信頼関係を構築するための試みとして開いた」という。(川口恭)

 国際医療機能評価のJCIを日本の病院として初めて受審していた亀田総合病院(千葉県鴨川市)に、このほど合格の知らせが届いた。亀田信介院長は「審査を受けるのは大変だったけれど、医療鎖国に一石を投じることになれば」と話している。認証の授与式は来月行われるという。(川口恭)

 18日の総選挙公示を前に、7月の東京都議選において議席を獲得し国会にも議席を持つ自民、民主、公明、共産各党(解散前の衆院議席数順)の医療政策担当者に話を聴いた。誰を医療政策担当者と見なすかは、各党本部の差配に従った。くしくも全員医師になった。全ての党に同じ質問を行い、回答は原則として編集せず、回答すべてを掲載した。

1回目は自民党の鴨下一郎・党社会保障制度調査会医療委員長(元環境大臣)。(聴き手・川口恭)
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 昨年11月より皆様に10ヵ月間のご協力をいただいて参りました『周産期医療の崩壊をくいとめる会』の募金活動に協力する1クリック運動ですが、クリック募金システムの契約期限が近づいて参りまして、この10ヵ月の実績を振り返るに、契約更新しても費用に見合うだけの運動の広がりが期待できない(募金額よりシステム費の方が高かった)ことから、残念ではありますが契約更新せず今月いっぱいで打ち切らせていただきます。

 クリックくださった皆様、募金を肩代わりしてくださったスポンサーの皆様に厚く御礼申し上げますと共に、あと半月間残っておりますので、ふるってクリックしていただければと存じます。会の募金活動は依然として続いており、実際にご遺族への給付も行われております。それへのご協力は、形を変えて続けたいと考えております。

ロハス・メディカル発行人 川口恭

 14日に国立がんセンター中央病院で開かれたがん患者3人による講演会の概要をお伝えする。会の趣旨を、土屋了介院長の挨拶から引用すると「がんの患者さんは、実は経済的な負担が大変だという。私たち医者も分かったようでいて、でも聴くとそうだったのかということがたくさんある。診察室ではこういう話を聴くことはないので、ウチの若いのにも聴いてもらおうと思ったのだが、ちょっと参加が少ないのが残念。逆に言うと、これが医療界の実態であるということで大いに反省しないといけない」。会場は3分の2ぐらいの入りだったのだが、どうもメディア関係の聴衆が多かったようだ。(川口恭)

kokugannzenkei.JPG 国立がんセンター中央病院の土屋了介院長は14日、承認も保険収載もされているものの、使えるがんの種類が限られている「適応外の抗がん剤」について、「来年は、ことしの2倍3倍使っていく。世界的に効果が確かめられているものなら、真っ先に有効性を確かめ保険適応してもらうよう研究するのが、研究病院である私どもの施設の使命」と述べ、抗がん剤の適応拡大に向け積極的に役割を果たしていく考えを示した。(川口恭)

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インタビュー 植山直人全国医師ユニオン代表(老人保健施設みぬま施設長)
 
 「医療崩壊の中心は、勤務医の過重労働など医師に関する問題。地域住民の理解を得て、ともに医療を正常化していきたい」-。国内に初めて誕生した、医師が個人加入する労働組合「全国医師ユニオン」が設立して約3か月が経った。まだ手探りの活動が続く中、医師の労働組合という存在が患者の利益につながっていく可能性を植山直人代表に聞いた。(熊田梨恵)

iryoukaigokaikaku090811.JPG 医療と介護の政策立案・実施を統一された方針で行うことを目的として、厚生労働省の医政・老健・保険の3局が連絡調整する場となる『医療・介護改革調整会議』が11日、第一回会合を開き、任期の間もなく切れる舛添要一大臣は冒頭に挨拶だけして去って行った。(川口恭)

 欧米の保険会社が保険対象とする基準となり、海外の富裕層患者を受け入れ(メディカルツーリズム)るアジア各国の一流病院が競って取得している国際医療機能評価の「JCI」(本部・米ワシントン)を今週、千葉県鴨川市にある亀田総合病院が日本で初めて受審した。日本でもトップレベルの病院として知られる同病院が、アメリカ的視点からはどのように評価されるのかが注目される。(川口恭)

 救急搬送件数が年々増加する中、国が描く新しい119番通報システムの大枠が少しずつ見え始めた。総務省消防庁は119番通報時のトリアージ(重症度・緊急度による患者の選別)実施後の救急隊の運用や病院選定などに関して、実際に消防本部で実施して検証する方針を決めた。国が検討を進めているトリアージの運用ルールが具体化しつつある。(熊田梨恵)

 総務省消防庁は8月6日、今年度に行う救急搬送の実態調査で、救急の搬送と受け入れのマッチングを一部地域で実施する方針を決めた。救急隊が疑った疾患と実際の診断名、選んだ搬送先が適切だったかなどを検証し、救急搬送と受け入れ業務の質の向上を図ることが目的。今後、各都道府県が実施する救急搬送の検証作業のモデルとなりそうだ。(熊田梨恵)

 全国医師連盟(全医連、黒川衛代表)は8月6日、30日に投開票される衆院選に向け、各政党の医療政策を問う公開質問状を送付した。医療費や医師の労働環境、アクセス制限、医療事故調査委員会などに関する回答を求めており、17日には全医連のホームページ上で結果を公表する。(熊田梨恵)

 「『特定』を除外された患者さんの病態を見てみますと、医療療養と非常によくに通っている。しかし出来高なので、検査とかレントゲン、CTはたくさんとっている」-。厚労省が中医協の「慢性期入院医療の包括評価調査分科会」(分科会長=池上直己・慶大教授)に示した一般病床の実態調査の内容について、武久洋三委員(日本慢性期医療協会会長)は、同じ状態の慢性期患者であっても病床の種別で診療報酬が異なることについて「不公平ではないか」と述べた。(熊田梨恵)

 インフルエンザ感染などの際に肺炎合併を起こして重篤化する危険性を下げてくれるとして高齢者に接種が推奨されている23価肺炎球菌ワクチン(ロハス・メディカル誌08年4月号参照)について、現在は禁忌となっている2回接種が近い将来に認められることになりそうだ。厚生労働省のインフルエンザワクチン需要検討会委員長も務める神谷齊・国立病院機構三重病院名誉院長が5日、都内で開かれた小児用ワクチンに関するプレスセミナーで見通しを明らかにした。(川口恭)

 厚労省が中医協の「診療報酬調査専門組織・慢性期入院医療の包括評価調査分科会」(分科会長=池上直己・慶応義塾大医学部教授)に示した、医療療養病床の患者分類ごとの収支差によると、医療区分3ではADL区分の1と3の間に、一日当たり約5000円の差があった。診療報酬自体はADL区分によって変わらないことから、池上分科会長は「費用の面では差があるが、報酬としては同じになっているのは大きな課題」との見方を示した。(熊田梨恵)

 厚生労働省の社会医療診療行為別調査(07年6月審査分)によると、90日以上入院している75歳以上の後期高齢者の患者約37000人のレセプトのうち、約3万6000件が「後期高齢者特定入院基本料」の算定から除外されており、一般病棟入院基本料を算定していた。(熊田梨恵)

7月29日の中医協02.jpg 「中医協の位置付けの話だが、以前、確か遠藤会長は改定率についても内閣に対して発信することも考えたいというような......」「いやいやいや、そんなことは申し上げていない」─。中医協の位置付けが見えないまま、足踏み状態の議論が続いている。(新井裕充)

 助産所での分娩を希望する妊婦がいる一方で、医師がいない助産所での分娩は一定のリスクを抱えることにもなる。都のスーパー総合周産期センターでの受け入れが必要になったケースでも、助産所からの搬送があった。(熊田梨恵)

 救命処置が必要な妊婦を24時間体制で必ず受け入れる「スーパー総合周産期センター」のシステムが東京都で開始してからの約4か月で、スーパー総合の受け入れに該当する重症の妊婦の搬送ケースは9件あった。このうち8件は近隣のセンターが受け入れることができており、他のセンターでの受け入れが不可能なために"最後の砦"としてスーパー総合が受け入れたのは1件のみ。関係者からは、スーパー総合があることによる安心感などが他の医療機関に影響し、他のセンターの受け入れがうまくいっているとの声が上がっている。(熊田梨恵)

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